【読書記録】「LOVEorLIKE」 |
石田衣良/中田永一/中村航/本多孝好/真伏修三/山本幸久、以上6人によるアンソロジー。私自身アンソロジーはとても好きなので、とにかく手にとっていますが、今回ばかりは中田さんの作品が掲載されているという事で大いに期待しながら借りてきました。それでは、それぞれの感想を。 ・石田さんは、彼らしい軽いテイストで乗せてぐさりと刺す、そんなイメージの作品。それにしてもマダム…何者だったのやら。(汗) ・中田さんはやはり『百瀬〜』で評価されての再登場らしく、期待して読んだところ、期待以上の作品になっていて、私としてはこのアンソロジーの中で一番好きなお話でした。中田さんの小説はとにかく間の取り方が絶妙で、じわじわとやってくるイメージ。シリアスかと思えば、ふっと肩の力を抜いた文章に転換しているのも特徴的だと思います。 ・中村さん。実はこの作品、読んだ事がありましてあれ?と思いつつ読むことになりました。あまりこの方の著作は読んでいないのですが、偶然の一致ということでしょうね。遊び心と楽しんで書かれている感じが伝わってくるまさに「ハミング」のような作品。作品名:ハミングライフ ・本多さんは、過去と現在のいり混ぜ方がよくて、あとで「ああ、この人物はこうだから…えっとどうなっていたんだっけ?」とページを戻る楽しみがある作品でした。 ・真伏さんは、本作からエンターテイメント小説界にデビューらしく、唯一著書を読んだことのない作家さんでした。わりと淡々とした流れの中に小さな心の動きがあって、作風はもう出来ているのだなぁと感じました。今後どのように展開されるのか気になるところです。 ・山本さん。中盤までかなりさわやかな恋愛小説なのかな〜と思いつつ読んでいたのですが、インパクトという面ではこの作品が一番印象的でした。なんというか…青春時代のどうしても自分ではどうにも出来ない感情と関係と環境と…そういう事が香水のようにほんのり空気中に漂っていて、このような作風はわりと好きなのでした。
以上からも察していただけるかと思いますが、とても満足度の高い内容になっておりました。全体的にテーマである『LOVE or LIKE』が強烈に効いていて!とても凝った使われ方をしていて、どの作品もそれぞれにすごくいいなと思いました。NO.007■p327/祥伝社/06/07
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2008年03月23日(日)
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