【読書記録】姫野カオルコ「桃」

『ツ、イ、ラ、ク』を読んだら『桃』を読まないと、と思って借りてきた『ツ、イ、ラ、ク』の対の小説。内容は一応独立した短編的な様相。以前この本を発見したときには、前作を読んでからずいぶんたっていたので、記憶も所々飛んでいたのですが、今回はあまり間も開かずに読めたのでなるほど、あのことを指しているんだなとか、これはだれそれだなどとシルエットを読み解く事が出来て楽しかったです。
表題作の『桃』は、例のごとく大人になった彼女があのときを振り返るわけですが、まさに私が思っていたことをもっと当人らしくおもっていて、もう少しすればいいこともあるよ…!とつい応援したくなってしまう気持ちになりました。…愛していたんだなと感じる。
前回は『高瀬舟〜』がとても印象的だったのですが、それはやっぱり彼が何を感じていたのかわからなかったところが大きいのだろうなぁと思うと同時に、この本に出てきた主人公であり第三者達はみなどこかで関係していて、小さな田舎のコミュニティを強く感じさせられました。うまくいえませんが、みんな凝縮したそれぞれの思いがいいです。小さい町からこそたった波風とその記憶。NO.17■p333/角川書店/05/03
2008年05月28日(水)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン