【読書記録】午前零時 |
13人による午前零時をモチーフにしたアンソロジー。抽象的な午前零時というお題に対しての解は、とてもバラエティに富んでいて面白かったです。ページ数はばらばらなので、展開などはまちまちなのですが、とにかく質がいい。今までの抽象的なのに具体的で似たり寄ったりではなく、話の方向そのものがそれぞれ大きく違う。ジャンル的に見ても、恋愛小説にホラー、もしかしてSF?それともファンタジー?なんてものまで。執筆人も豪華、いいアンソロジーでした。 ・鈴木光二/初っ端から予想外の方向に展開して、むむむ…!と思わず。『リング』の方なのですが、予想外の雰囲気でした。 ・坂東眞砂子/二編目なので、このアンソロジーはどういう読み方をすればいいのかなぁと思いつつ読んでいたところでなるほど〜と。 ・貫井徳郎/この著者の描く人間像に興味がわいた一作。長編ならどんな登場人物が出てくるのかな。 ・近藤文恵「箱の中」/箱がこんな風に用いられるとはなぁと。なんとなく想像するのが楽しい一遍。 ・石田衣良/石田さんはいつも石田さんだなという作風だったのですが、今作は新鮮に映りました。既読の作者さんがたの作風がちょっと違って感じられたのも、このアンソロジーでは珍しくなかった印象。
とりあえず、印象深かった作品(著者)を並べてみましたが、全体的にどのように落ちるのだろう、とわくわくした期待感を持って読めました。先が読めない・作風がわからないという目隠し状態で本を読んでみたい方にはお勧めかもしれません。NO.37■新潮社
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2008年08月20日(水)
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