【読書記録】島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」

ストーリー:まだ小さいころ、故郷の北海道で、なかなか寝付かない私に父が繰り返していた言葉。「早く寝ないと大きなくまがきて、お前を食べちゃうぞ」。大人になって、彼と同棲している今、私は不意にその言葉を思い出した。

表題作の長編なのだと思っていたのですが、短編三つが収録されています。表題作を読み終わって、あとがきをちらっと見たところ、意図があっての短編集なのだなとあって、それを考慮しつつ読みました。よって、この本はあとがきかを読んでからの読み方と読む前の読み方は若干ですが違うような気がします。
内容についてですが、これは『あなたの呼吸が止まるまで』と似ている雰囲気を感じました。綱をぐらぐらしながら渡る息苦しさと、いつまでもぼんやりと漂う閉塞感。駆け出したような恋愛小説を描くかと思うと、こんなにぐらぐらした小説も書くのだなぁと言うのが私の感想でしょうか。NO.67■p201/新潮社/07/03
2008年11月21日(金)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン