【読書記録】豊島ミホ「ブルースノウ・ワルツ」 |
ストーリー:都心の豪邸で、かごの中の鳥のように生きる少女がおりました。彼女は来る日も来る日も同じような日々を過ごしていたため、たまに父に同伴して出かけることをとても楽しみにしていました。しかし、今回出かけたのは失敗だったと教会の中で彼女は感じたのです。この臭気と陰気くさい部屋の中でみつけた何かを見て――。
豊島さんの半分ファンタジーな世界観がここに!私はおとぎの国のイメージでしたが、案外寒いヨーロッパ地方をモデルにしただけかもしれません。苦笑 少なくとも現代の日本が舞台ではない作品です。豊島さんの作品では珍しいですね〜!いつもの息遣いが聞こえてくるようなタイプの小説ではなく、今回はわりと淡々とお話は進みます。少女が受ける感情の波がさほど大きくないのですが、その何かを見つけたことで少しずつ彼女は自分を見つめ、それを通して外の世界を感じ取ります。決まった日々、敷かれたレールはこの上なく当たり前に用意されるもので、そして私には自由というものはない。それが彼女のものの見方。感受性が広まった時の彼女の行動が、興味深かったです。そしてエンディングの迎え方も。NO.69■p188/講談社/04/05
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2008年11月27日(木)
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