みかんのつぶつぶ
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2003年04月02日(水) 美しい花

日記に書くことまでもなく、とりとめもなく日々を生き。

娘が原付免許受験。
合格しちゃったとの電話。
娘のその声の背景に聞こえるざわめきに、
がんセンターの日々を思い出していた。

あの場所は、道路を挟んで運転免許試験場とがんセンター。
夏の午後、
車椅子を押し横断歩道を渡り、試験場のベンチ、木蔭。
点滴をつけたその車椅子の姿は、
あきらかにがん患者だとわかり過ぎるほどだった。

だから、
二人無口になっていた。
その人々のざわめきの中にいながら、
とてつもない疎外感を味わっていた。
ここに来てはいけなかったな、と。

たった数メートルの道を渡っただけなのに、
ただ、悪性の病気に罹っているというだけなのに、
ただ、生きていたいと願うだけなのに。




がんセンターの病室で迎えた彼の最後の誕生日。
ケーキぐらいないのかと、憎まれ口だったのか、本音だったのか。
本当に、
ケーキくらい買っていけばよかったと後悔。

キミが生まれた日も、
こんな風に桜が咲いていたのだろうね?

散り落ちる花びらを見つめ、
がんセンターの帰り道、バス停。
涙なく泣いた日々。


生まれた日と、
死んだ日と、
知ってしまった辛さ。

なんともいえない気持ち。癒えない心。

この痛みは、
この世に生まれてご縁をいただいた証し。
大切に。大切に。
そっと、そっと・・・



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