みかんのつぶつぶ
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2003年07月02日(水) 7月

四角い病室にある四角いベッドの上で、
どうして自分がここにいるのかわからないから教えてくれと訴える彼。
額に汗し、目を見開き、全身の神経がその理由を欲していると感じた。

どうして俺はここにいるんだ?

7月に入ったとたんに、苦悩しはじめた彼。
それは突然やってきた現象に見えた。
でもそれは悲しい錯覚だった。突然なんてありえない話しだ。
罪だ。
私の罪だ。
見過ごして、やり過ごしていた結果だ。

眠りに入れる薬を服用したはずなのに、
夜11時になってもベッドの上から電話をかけてきた。

教えてくれよ、どうしてここにいなくちゃならないのか!

その押し殺した叫び声が耳から離れない。
どうしてこんなに悲しいことが起こるのだろうと不思議にさえ思った。
その一場面一場面を消化するのに精一杯の日々だった。
これ以上に辛いことなんてありえないと本気で思った。

精神を狂わせて答えを探していた彼。
歩けるならばきっと病室を抜け出して答えを探しにいっただろう。
少し歩けば気が紛れて眠りにつけただろう。
けれど彼にはそれができなかった。



7月は、同室だったOさんが空へ旅立った月。
彼と私の後ろ姿を絵にしてくれたOさん。
あなたの目に映った彼の後姿、今年も飾らせていただきます。
病室ではあまりお話しできる時間がなかった彼ですが、
中華街や山手のお話しは、彼の方が詳しいのでたくさんお喋りしてくださいね。
彼と一緒にいる四角い顔の親爺が私の父です。
どうぞよろしく。



みんな寂しくないようにしてください。
私も、なんとか頑張りますので。




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