夕暮塔...夕暮

 

 

無闇に満ち足る - 2001年12月23日(日)

冬の色し 霞む夕陽は硝子越し 無闇に満ち足る今日もまた過去





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午後、散歩兼買い物に出掛ける。こんな天気のいい日に外に出ないのは勿体ない。
初めて寄った住宅街の中のコーヒー豆屋さんで、注文して待っている間にデミタスカップにコーヒーを出して下さる。こういう事はとても嬉しい。1人で店を切り盛りしているおじいさんは、ご健啖でかつぜつよく話す。色んな話を聞く。朝6時半からの公園での体操の事、今も続けている山登りの事(富士山では毎年ゴミ拾いのボランティアをなさっているとか)、昔は銚子の漁師さんでニシンが良く獲れていた事、それを干しかにして米所で肥料にしていた事。
どうも総合すると、山にゴミなど捨ててはいけない、肥料は化学肥料を使ってはいけない、というあたりに集約される感じ。
それにしても、本当にお元気な方で嬉しくなる。90歳だなんて信じられない。私の茶道の師範と同い年。先生も恐ろしくお元気な方と思っていたけれど、この人には完全に負けるだろう。

今日は父の誕生日。駅までの道を歩きながら、久しぶりに父の携帯のメモリを呼び出す。もしかして仕事かもしれないと思いながら。
「お父さん、誕生日おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「今日はお仕事?」
「いや、休み」
他愛もない会話。今日は母の実家にいるらしい。叔母が胃を悪くして入院したとの事、様子を尋ねると「元気だった」と笑う。いつ帰省するのか尋ねられ、今年は少し遅めなのでちょっと言い難いと思いながら伝えると、父はふうんと返す。遅いから寂しいだなんて言う人ではないのだ。
早く帰省して、あのがちがちの肩をほぐしてあげたい。

考えてみれば父には似ていない所だらけだ。何人子供がいても、誰も父を超えられそうにない。無理に私の方が勝っている所を探してみると、私は学歴だけなら父を上回ったと気付く。ああそんなもの、本当につまらない。なんて取るに足らない物差しなんだろう。却って虚しくなってしまった。
もうやめよう、そう思った所で、身長も追い越した事に思い当たった。これは父親としてはかなり嬉しくないだろうな。

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ああ、胸に、くすぐったい懸念がある。困惑しながら不幸ではない、これをどうしたらいいだろうか。


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