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風かおる - 2002年02月01日(金) 風かおる 如月来たりて 君がため 思い悩む日も少なくなりゆく *************** ******* *** * 薫風は5月の季語、規則からは外れるけれど東京では2月に梅が咲く。白梅の下に夜立てば闇が香る。 すばらしく天気がいい。「大林君、時々休憩して遠くの緑を見るといいよ。目が疲れるでしょう」 脇目もふらず机に向かう姿がいっそ気の毒で声をかけると、律儀に少年は立ち上がる。5階から見下ろす広い校庭に人影はない。乾いてあたたかそうな土が広がっているけれど、私はもうあの上を駆ける感触を思い出せない。かれはどうだろう。あの日だまりの土のあたたかさが、このどこか寂しげな子にファミリアなのかどうか気にかかる。 吉祥寺に寄って帰る。爪先が丸めのスクエアになっている履きの深いミュール、ぴったりでとても歩き易くて、値段も手頃。無難な色を選ぼうとして、深いワイン色が目に付く。そういえば私は赤い靴を持っていない。 器のお店に追加注文してもらったくすんださくら色のお皿を受け取りに行く。梅の花の模様がほの白く浮かんでいる。形もわずかにいびつなのがかわいらしい。同じシリーズのふっくらとした形の茶碗蒸し入れが前から気にかかっているのだけれど、滅多に使わないものだからと我慢している。買わないとわかっているのに、お店に行くと見てしまう。店頭からあれが消えたら、わたしはおそらくもの凄くがっかりするんだろう。 -
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