夕暮塔...夕暮

 

 

川沿いに - 2002年06月29日(土)

川沿いに 誰かの愛しいひとを乗せ 電車は湿った夜(よ)を駆け抜ける




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雨が降っている。黒い柔らかな生地のワンピース、これ一枚では多分冷えるだろうとカーディガンを羽織る事にした。新宿伊勢丹で買い物をした後、銀座へ向かう。
今日は同僚の送別会、彼女は今の仕事を辞めて、インターンシップのようなものに出るのだという。色白で凛とした人、態度にも表情にも媚びた所がなく、話し方も女性らしい甘さがない。クールで時に辛辣、だけど私はとても彼女が好きだった。上司に気を遣いつつの食事会は正直な所気詰まりな面もあるけれど、彼女の顔が見れるなら構わないと思う。
別れた後、全員宛に謝礼の携帯メールが入る。返信すると、すぐにレスポンスがあった。「あなたの事が、とても好きだよ」
こんな言葉を、容易く使う人じゃない。多分私はお別れを告げられたのだ。まだ雨は降っている、暗い帰り道、唯一間近に明るい携帯の画面をぼんやり眺めて立ち止まり、曇り無い空の下で平原に立つ彼女を想像する。梅雨の雨など知らない美しい大地、東京以外の土地に初めて暮らす彼女の憧憬を静かに考える。


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