夕暮塔...夕暮

 

 

花火の夜 - 2002年07月27日(土)

お酒の席、知人の奥様が私費出版した小説の感想を求められて、どう答えたものかと少し窮する。小説としては正直言ってつまらなかった、二度読む気にはならないし、本当は読んでいる途中から少し苦痛だった。文章そのものは決して悪くない、だけどあまりにテーマが明確に言語化されてしまっていて、説教をされているような気持ちになってしまうのだ。展開もややご都合で、人物描写が足らないから何故そうなるのか読者には理解できないし、何より主人公に魅力がないのが致命的だと思う。

知人達と別れて、薔薇色の雲の浮かぶ中を浅草へ向かう。隅田川の花火大会はブラウン管を通してしか見たことがなかったので、本当に楽しみにしていたのだけど、人の海で待ち合わせ場所に辿り着けず苦戦する。時間も遅すぎた、結局一人きりで、橋の上から最後のスターマインを眺める事になってしまった。携帯が何度目かに鳴り、私は半分やけになって通話ボタンを押す。
「花火、終わっちゃったよ?見た?」 「うん、見た」 「ひとりで?」 「…そう、一人で。橋の上で」 「会ったら、何て言っていじめようかなって思ってるとこ」と笑われて、私は「もう帰る事にする」と応戦してみる。


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