日々是迷々之記
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「のんきぶた」とは小学校2年生のときの担任である中山先生の言葉だ。朝の会か何かで寝坊して遅刻した子(私だったかも)に先生は言った。
「人間は10時間以上寝ると、ぶたになります。のんきぶたです。」
わたしはうなってしまった。ご飯を食べて横になると牛になってしまい、夜に口笛を吹くとどっかにさらわれて、寝過ぎてしまうとぶたになってしまう。人間として生きていくのは大変そうだなぁと思ったのだ。これは何も本気で牛になったりぶたになったりすると信じていた訳でなくて、真面目にしなさいという教えが何だかめんどくさそうに思ったからだ。
その予感は的中し、子供らしさ、女の子らしさ、後には、女性らしさなどの「らしさ」という亡霊に惑わされてきた。そういったことが幻想にすぎないと気づくのに10年、そして解脱に10年。ま、 5年くらいで取り戻したるから覚えとけやワレと、押しつけてくれたジョーシキある人々には言いたい。
この場合、中山先生が好かん!と言うわけではないことを書いておきたい。彼女はマンガ好きでよく私とマンガの貸し借りをしていた。私が、ドラえもんやサイボーグ009、先生がダメオヤジを貸してくれた。ついでにバイク乗りで、事故ったときフトモモの肉がはがれて、こけてくるくる回るホィールのスポークに垂れ下がっていたことなど、とても印象深い話をしてくれた、いい先生だ。今、どうしておられるかはわからないが…。
話はそれたが10年を経て今、牛ぶたの道をまっしぐらである。点滴中にうとうと、食後にぐーぐー、なのに24時ごろになると上下のまぶたさんがそそそと寄り添いはじめ、8時前に枕元に朝食が置かれる音で目が覚める。
寝る子は育つ!というが、子どもじゃないしな、もう。
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