日々是迷々之記
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2001年10月10日(水) 安宿に沈没気分

午前中は雨模様だったので、なんとなくぼんやりと窓の外を眺めながらベッドにころがっていた。点滴は早朝の採血のついでに済ませたのでひたすらのんびりする。

10時ごろT先生がやって来て、患部に貼ってあるスポンジをはがして消毒をしてくれた。はじめて傷口を見たが小さくてびっくりだった。4cmほどの傷が3箇所。ここからあのものごっついネジが出てきたなんて。T先生によるとこれらの傷のうち縦に並んだ2つは中でつながっているそうだ。開いたついでに癒着をはがしたとのこと。これでリハビリ再開後もっと曲がりそうでうれしい。ありがとう、T先生。

その後雑誌を読んだりしてうだうだしていると、お昼ご飯が運ばれてきた。今日のメニューはハヤシライス。これは要注意メニューなのだ。以前、お肉だと思って塊を口に入れたらルーの塊でボヘーとなった苦い記憶が蘇る。慎重にかきまわすと大丈夫なようだ。安心してはむはむと食べる。満腹になって食後のコーヒーを飲んでいるとにわかに外が晴れてきた。

そうだ、洗濯をしようと思いたった。病院の3件隣にコインランドリーがあるのだ。大きな洗濯機だからパジャマからGパンまでいっぱい洗った。30分で洗濯終了、乾燥は20分。Gパンは縮むと嫌なので部屋のカーテンレールに細引きでつるして自然乾燥を待つ。

こうして洗濯物の下がった窓辺を眺めていると持ち物の所帯くささもあいまって、海外のユースホステルで沈没していたことを思い出す。モントリオール、ケベックシティのような都会はどうも居場所がなく、街に出るのも億劫で部屋の窓から行き交う人々や鳩を眺めたり、ぼんやりと過ごした記憶がある。

考えてみると、私の入院生活は安宿に沈没しているようなものだ。好きなように寝て起きて、ベッドの上で食事をし、同室の人達とあたりさわりのない会話をし、気が向いたらサンダルをつっかけて飲物や雑誌を買いに行く。ひとつ何かをすれば「仕事をした。」気分になってしまうところは特に。(今日の場合は洗濯。)
One day, one thing. の精神だ。

そう考えると入院生活もお気楽に思えてくる。さぁ明日は何の仕事をしよう。おやすみでもいいか。


nao-zo |MAIL

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