日々是迷々之記
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昼休みにお茶を飲んでいたら携帯電話がぶるぶると震えた。ああ、電話や、と思って取ると、母親が入院している病院の看護士さんからだった。用件は2点。さっさと歯医者代金を払いに来ること、郵便物が来ていることだった。歯医者代金は先週からしつこく言われていたのに、私が週末行かなかったので怒っているみたいだった。寝たきりなので出張歯医者さんが来てくれたらしい。
だいたい経管栄養(鼻の穴から胃袋に通した管にカロリーメイトドリンクのようなものを流し込んで食事にする)なのに、なんで歯医者?と思ったが、そんなことを言うと鬼のようなやつだと思われそうなので止めておいた。でも「入れ歯の調整」だけで25120円は高すぎるような気がする。
明日行きます、ととりあえず先延ばしにしてみたが、それも何だかなぁということで、今日、帰りに行ってきた。大阪市の西から東、それもラッシュ時間帯なので50分くらいかかった。寒い、死ぬ…と思いながら病院にたどり着くと、なんと事務の人は5時半までしかいないので、お金は受け取るけどおつりは出さない、手紙も渡せないとのことだった。がぁぁ〜ん…。しかも日曜日は休みらしい。
つか、そんなの対応できないんすけど…。と私はトホホな気持ちマックスで訴えた。看護士さんは困っていた。そりゃそうだろう。んなこと関係ないねんけど、と思っているはずだ。とりあえず明朝9時ちょっきしに来て、手紙とお釣りを受け取り、ダッシュで会社に行くことにした。15キロくらいだし、中型の方のバイクなら多分10時の始業に間に合うだろう。
でも、ちょっと(いやかなり)行きたくない。そんなんであせって事故りたくないし、郵便物だってしょーもないババア通販のカタログかもしれないし、お釣りもらっても事故ったら元も子もないし。でも3万円出したからやっぱお釣りは欲しいし。どっちやねん。
寝たきり老人問題はみんなどうしてるんだろうと思う。一人の老人を養うために一人が収入を得て、別の一人が身の回りの世話をする。ということは、一人のために二人必要ということである。うちは父親がとっくに亡くなったのでまあいいが、一人っ子で両親が健在だったら正直面倒見切れないなんではないか。
こんな言い方は汚いのかもしれないが、本当にそう思う。
と、今までならここで深く落ち込んでいたのだが、今日はその先があった。嫌なら辞めるという選択だ。嫌なら失踪でもなんでもしたらいいわけで、それをしない今の自分は自分自身の選択だと思うようになった。くだらなくてもしょーもなくてもそれはそうなる必然性があったのだと思う。「柳に風」の柳みたいに適当にやっていこうと思う。
薄情者だと思われたくないのなら郵便を取りに行くなど世話をすればいいし、事故りたくないのなら遅刻すればいいし、選ばされるのではなく選べば気持ちはだいぶ違う。結果はまぁ同じなのだから。母親は生きているうちは生きておけば、と思う。
「明日は明日の風が吹く」とはうまく言ったものだなぁと今日は思った。
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