日々是迷々之記
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昨日の続きである。早起きして病院に行ってから会社に行くつもりだったが、やっぱり起きられなかった。心の奥の方がめんどくさいと言っているような気がした。しかし、うまくしたもんで、またも昼休みに看護士さんから電話があって、今日の20時までに取りに来れば特別に渡してくれるという。
私は粗末な農民のようにありがとうごぜえますだぁみたいなかんじで礼を言い、会社が終わって病院まで走った。
予想通りババア通販のカタログだった。血は争えない。私の趣味も通販だが、母親の手の伸ばし方はすごい。とりあえず知ってるものは全部、そして地方の名産品系まである。シムリー、住商オットー、シルクのジャスミ、ランズエンド、鹿児島うまいもの何とか、などなど。受け取るのが本当に恥ずかしい。
それと意味ありげな郵便が一通。郵便局から本人限定郵便のお知らせ。こんなものがあるのを初めて知った。これはあとでどうにかしよう。
バイパスをバイクで走ると気持ちがいい。マフラーを替えてから、軽くて気持ちのいい音になったので、回すのが楽しい。回して排気音を堪能するのはほんの数秒だけど、くわーん、くわーんと頭に残る。
家に帰るとおでんを煮込み、即席漬けを仕込みつつ、マックを起動し、ビールを飲む。そして音楽をかける。iBookはボリューム最大。が、元々そんなに音は大きくないので、換気扇の音に消されてしまう程度。今日はアメリカンなオルタナ系。ギターの弦がびょんびょん鳴って、孤独な単語を綴る。イエスタデイズサンセット「昨日の夕日」、セイブミーフロムストラグル「もがく私を救ってくれ」。目を閉じると音の中に吸い込まれて浮くのがわかる。
高揚ではなく浮遊。そんな気持ちが今日一日をどうでもいいものに変えてくれる。しんどさも、虚脱感も、切迫感も、強迫感も、やらされてる感も、背負わされている感も。全部がばかばかしいほどどうでもいい。
「かちゃ。」っと玄関の開く音でリセットされた。家人が帰ってきたのだ。音楽を聴いていたので、お風呂の水が満タンになってしまったがまあいいだろう。
自分で自分を解放することができるようになれば、毎日はさほど悪くない。
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