あたしは此処に居るのに。 あたしは何処へ行っちゃったんだろう。
一年と数ヶ月ぶりに、高校時代の友達と逢った。 池袋にて、合唱部の飲み会。 幽霊部員だったあたしでも、みんな優しく迎えてくれた。
正直、飲み会の話を聞いた時、かなり迷った。 あたしなんかが参加しちゃっていいのかな・・・とか。 だけど、久し振りにみんなに逢ってみたかったから。 勇気を出して、参加してみたんだ。
懐かしい顔。 だけど、みんな凄く大人っぽくて綺麗になってた。 当たり前のように、あたし以外はみんな女子大生やってて。 サークルの話とか、講義の話とか、バイトの話とか。 そういうのに、あたしは全然入れなくて。 「大学へ行かなかった」自分を、意識してしまう。
お酒は控えめに。 それなりに色々お話して、飲み会終了。 帰ろうかとも想ったけれど、なんとなく2次会へ。
2次会のカラオケは、かなりのハイレベル。 さすが、合唱部! みんな上手くて、ずっと聴き惚れてた。 自分の歌の稚拙さが、厭になるくらい。 最後に何故かハレルヤを歌って、本日の予定は終了。
楽しかった。本当に。 だけど、どうしてだろう。 周りの世界が、ずっと遠くに感じられた。
あんなに笑って、あんなに楽しくて。 こんなにみんなのコトが大好きなのに。 どうしてあたしは、いつでも輪の中に入れないのだろう。 無意識の内に自分を演じ、心を遮断して居る。 そんな、昔のあたしに戻ったみたいな感覚。
結局、何も変わって居ないのかな。 あの人が居るというコト以外は。
学校にも部活にも、あまり行ってなかった。 そのコトを、少しだけ悔しく想った。 あたしもみんなと同じ時間を、一緒に過ごして居れば。 部活も適当に頑張って、大会で一緒に涙したり出来れば。 少しは、変わっていたのだろうか。 それとも、やっぱりあたしは「友達」や「人間関係」が苦手で。 何処へ行っても、変わらずに。 誰かと仲良くするコトが出来ない。 仲良くする方法が、判らないままなのだろうか。
どんなに追いかけても、追いつけない。 届かない世界もあるんじゃないかな、って。 帰りの電車の中、一人、考えて居た。
家に帰って来て。 あの人の笑顔と、スピカのピンと立った尻尾を見て。 自分の戻るべきこの小さな家を、とても愛しく感じた。
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