2004年06月30日(水) それも職人業か。
1日前に自転車のダイナモ(前照灯を点けるための発電機)が駄目になっていたので近所の自転車屋さんで見て貰った。前照灯を分解して電球が切れていないか確かめて、ダイナモの結線の具合いを見て調整してくれた上で消音ゴムを付けてくれた。更にこの自転車屋さんはいつも何も言わなくてもタイヤの空気圧の確認・保全と各可動部に油を差すことを必ずしてくれる。時間にして10分くらいの作業だった。
作業が終わって、ぼくは訊ねた。
「お幾らですか」
「100円」
てっきり最低でも500円くらいは取られるだろうと思っていた。しかし、この自転車屋さんは消音ゴムの実費しか取らなかったのだ。腕のいい、親切な自転車屋さんなのに。もっと取っても文句を言う人はいないだろうに、技術料も手間賃も取らないのだ。ぼくは思わず訊き返した。
「それだけでいいんですか」
あっさり、うん、と言われた。
技術があるのに技術への対価を、作業をしたのに作業への対価を取らなくて、この自転車屋さんは儲けがあるのだろうかと、人ごとながら心配になった。でも、腕がよくて親切だから、古い店だけれどこの自転車屋さんの客足が途絶えることがない。薄利多売、なのだろうか。
技術料を取らなくても手間賃を取らなくても店を維持できる、それも職人業のうちなのかな、とか考えた。
とにかく、この自転車屋さんは客が支払う金額が可能な限り少なくなるように工夫してくれる。
ダイナモを見て貰った翌日にパンクを直して貰いに行ったら、チューブもゴムタイヤも大っぴらに穴が空いていたのに「(穴を塞ぐように修復材を)貼っておこうか。長く保たないかもしれないけど(チューブやタイヤを交換すると)高くつくから」と言ってくれた。でも、ぼくはこの際だから、とチューブもゴムタイヤも交換して貰った。3500円。ブランドもののよいタイヤを履かせてくれたのにこの値段。やっぱり実費しか取っていない。しかも各部点検をしてくれて「有難う」の言葉付き。
その上、ぼくがタイヤの修理を御願いに行ったのがタイミング悪く1500時過ぎくらい。丁度おやつの時間で、店主の、もう「爺さん」と言ってもいいくらいの年令のおじさんとその息子さんはふたりでソフトクリームを食べていた。おやつの邪魔をしてしまって御免なさい。
薄ら汚れたツナギを着たおじさんがふたり、狭い店の隅っこで扇風機の風に当たりながらソフトクリームを食べている姿は、何だかとてもかわいくて恰好よかった。
【今日の限界】
書痙がひどくて何もしていなくても「ううう……」とか唸ってしまうほど利き腕が痛いです。ううう。