�蠧�記
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お母さん、私は負け戦をしようとしているのかもしれません。
どうか笑わないで下さい。
私の我は小さい。
小さな小さな我を張っても、あの人たちには何でもないのかもしれない。
私の主張はおかしいですか?
私はまだ生きています。
生かされているとか言いたくない。
私はひとりです。私は自分のために戦ってやらなければならない。
お母さん、なぜあなたがあの時急に、私を伊丹行きの飛行機に乗せたのか私は疑問に思う。 普段からよく移動に飛行機を使うような家庭だったらいざ知らず、熊本から東京へは夜行寝台車で、新幹線にもほとんど乗った事は無かった。中学の修学旅行は京都だったけれど行けなかった。 急になぜ生まれて初めて私を飛行機に乗せたのか、わからない。 適齢期にもまだ達していなかった。 恋も知らなかった。一つ年下の学生を可愛く感じて読書会に呼んだりするだけで嬉しい時期だった。
何も急ぐ必要なんて無かったんだ。少なくとも、新幹線を楽しんでも構わなかったと思う。どうしてあんなに怒っていたのか、わからない。 もしかすると、兄の友人の中で、あの人が一番 礼儀を知っているとか、そんな風に言っていた記憶があるから、お母さんは、あの縁談を、とても成功させたかったのかもしれない。かなり気に入っていた部類の青年だったんだろうな。可愛くて仕方がないの、と私に語った事があった。
私もあの頃勧められて、そんなに拒否感は無かったが、あの人は大変だったんだろう。 本当に、住む世界が違った。
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