500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2001年11月08日(木) 野球狂の詩�ァ_晃涼凌�

 私が「マスターズリーグ」の話題を連載にしようと思ったわけ。「入場料が2800円もしたから…」と書いたが実は違う。このリーグを見ていて、今のプロ野球について考えさせられる部分が多い事に気付いたからだ。
 例えば応援団の鳴り物のない野球を観て、私が愛しているのは球音と自然に沸きあがる歓声なのだと再認識した。ファウルボールのプレゼントを知って次はグラブを持って来ようと心に誓ったが、逆に言えばそんな些細な事が球場に足を運ぼうというパッションに成り得るのだと知った。引退したり、夢半ばで退団を余儀なくされた選手のその後の人生に思いを馳せたのも初めてだった。
 人生。そう、スタンドに足を運んだオールドファンは、歳を取った選手達の姿に、若かりし日の自分と彼らと同じように歳を取った自分を同時に重ね合わせていたに違いない。ヒジの手術から立ち直って今でも剛速球を投げ込む村田兆治から、30年の時を超えて再びマウンドに立つ池永から、「人生って諦めなければ捨てたもんじゃないぜ」というメッセージを読み取る人も少なくないだろう。不況とリストラの時代だからこそ。

 それはノスタルジーだと、笑われるかも知れない。しかしある時期、野球は確かにこの国の大切な「文化」だった。たかが娯楽に過ぎない野球が日々の生活と濃密に結びついていた。今は…没個性化する選手たちに自分の姿を重ね合わせたり、そこから明日への活力を得たりする人がどれだけいるだろう。彼らのプレーから人生に影響を与えるようなメッセージを感じ取る人がどれだけいるだろう。もしかしたらこれこそが、近年野球人気が低迷していると言われることの正体ではないのか。だとすれば一体何が変わってしまったのだろう。
 私はまた、あのスタンドに行ってみようと思う。そこに答えがあるかどうかはわからないけど。


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