500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2001年11月07日(水) 野球狂の詩�ぁ,修靴独爐�帰ってくる

 プロ野球「マスターズリーグ」に関するミニ連載。彼について書かないわけにはいくまい。西鉄ライオンズの元エース、池永正明である。
 下関商2年の時にセンバツで優勝し、1965年に西鉄に入団。1年目から20勝を挙げて文句なしの新人王に輝き実働6年で103勝を挙げた。しかし70年5月の黒い霧事件で八百長の疑いをかけられた。本人はこれを激しく否定したが、結局球界を永久追放されてしまう。現在は福岡・中洲でスナックを経営しているという。
 マスターズリーグは実に31年ぶりの「プロ」のマウンドとなる。このリーグはプロ野球機構主催ではなく、扱いの上では草野球と同列なので「復帰」も差し支えないという判断なのだそうだ。
 松田優作、ジェームス・ディーン、そしてマリリン・モンロー。若くしてこの世を去った者たちが伝説になったように、池永ももしかしたらこのまま「死んだものとして」伝説になっていたかもしれない。しかし彼は帰ってきた。たとえ現役時代のようには投げられなくとも、失われた時を少しだけ取り戻すチャンスを得た。「俺はまだ生きている」。そんな証を見せて欲しい。

(8日朝 改訂版)
 「マスターズリーグ」について書く時、彼に触れないわけにはいくまい。西鉄ライオンズの元エース、池永正明である。
 下関商2年時にセンバツで優勝し、1965年に西鉄入団。1年目から20勝を挙げて新人王、実働6年で103勝を挙げた。今で言えば松坂のような存在だろうか。しかし70年の黒い霧事件で八百長の疑いをかけられ、球界を永久追放されてしまう。本人は容疑を強硬に否定し、チームメイトも彼は無実だと信じた。復権運動も度々あったが、31年経った今も当時の処分はそのままだ。
 しかしマスターズリーグは彼を追放したプロ野球機構主催ではない。扱いの上では草野球と同列で「復帰」も差し支えないわけだ。
 沢村栄治、大場政夫、そして力道山。若くしてこの世を去ったが故に伝説になった男たちがいる。池永ももしかしたら「死んだものとして」伝説のまま終わっていたかもしれない。生きたまま葬り去られる…それはあまりに残酷だ。
 現在は福岡・中洲でスナックを経営している池永。昔のようには投げられないだろうが、残りの野球人生で「俺はまだ生きている」という証を見せて欲しい。失われた時を取り戻すために。


人生が輝くに相応しい場(11/7)

 福岡ドームでの「福岡ドンタクズVS大阪ロマンズ」戦(7日)は池永投手の初登板が予想されたが、結局1塁ベースコーチに立っただけだった。それでも公の前に姿を現し、はにかんだ表情でスタンドに手を振る姿をテレビで見て胸が熱くなった。
 自分が愛するものがある日突然手の届かない所に行ってしまう喪失感。それはその立場になった人にしかわからない。夜の街でスナックを切り盛りしながらも時折野球の事を思い出し、胸かきむしるような思いに駆られることもあったろう。
 スナックの経営者も立派な職業である。ただ、天から授かった人生を最大限に生かし得る才能という視点で見るなら、池永にはやはり夜の街よりグラウンド上の方が相応しい。そこでこそ彼の人生の意味が発揮されると思うのだ。
 あとは、一日も早く処分が取り消され、身軽な立場になれる事を祈りたい。だってどう考えたって再犯の恐れはないんだから。


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