*えーと、スラムダ○クの「るあや」や、銀英伝のポプ○ン&ビッテ○フェルトものの続きをまっておられる方々へ。スミマセン、今某・ゲームをPLAY中のため、更新はおそらく早くても(汗)1ヶ月後になるかと思われます。何とぞご容赦下さい。 で、今回の更新は・・・ここではなるべくUPすまい! と思っていた、某・ゲームこと東京魔人學園外法帖ネタであります。それも女主人公モノ・・・☆ とりあえずここに何かをUPしておきたかったためもあります。そんなの見たかないや! とか、未PLAYでネタバレはイヤだ、と言う方は遠慮してくださいませ。 (注意:『外法帖』および東京魔人學園シリーズを知らない方へ。これはPSで発表されているゲームでありますが、女主人公と言うものは実はゲームでは存在しません。言って見れば女性ユーザーの煩悩のなれの果てで、ネット上ではかなりの数存在するものです。ウチのHOMEも何を隠そう、女主人公メインです☆) ・ ・ ・ ↑の注意書きをお読みになりましたね? では、どうぞ! ちなみにこの話は、公式HPでの「あったらよかった!こんなシーン」掲示板でちゃんちゃん☆ がした「フラッシュバック」案「の」元になっております。念のため。 ******************************** 過ぎし夢 来たる朝(1)外法帖・天戒×女主? 明け方に見る夢は、正夢になるという・・・。 「ん・・・?」 真夜中だと言うのに、九角天戒はふとした気配に目を覚ました。 敵襲の気配に布団を跳ね除けて飛び起きる事は、不本意ではあるがままある。ここは名を鬼哭村、と言う、徳川幕府に反旗を翻す人間達が隠れ住む村なのだから。 そしてこの村の頭目である彼・天戒が駆けつけて、不埒な侵入者を斬って捨てる、ということも、致し方ない事だ。村人の不安を取り除いてやるためにも、それはせねばならないことである。 だから彼はいつの間にか、眠りにつきながらも外の気配を探るすべを、身につけてしまっていた。 だが・・・今宵の気配は違った。 騒々しいものではない。むしろ、闇に紛れたささやかな気配。 それも殺意や悪意を感じさせるものではなく、おまけにその気配は徐々に遠ざかって行くのだ。 天戒はその、人目をはばかるように動く気配に、心当たりがあった。 「・・・・・」 身支度を整え、念のために愛刀を腰に差すと、彼は人知れずそっと、屋敷を抜け出すことにした。 *********************** ドドドドド・・・。 真夜中でも尽きることのない、大いなる水が流れ落ちる音。 気配を追っていた天戒は、村の外れにある那智滝のそばまで来ていた。 ここは昼間でも澄みわたった空気の場所だが、日も落ち、月の光だけが頼りのこの時刻はことさら、神々しいばかりの雰囲気を覚える。 ───水の清濁は人の世にも似ている、と天戒は思った。 新しい水が流れるからこそ、滝の水は冷たくはあるが澄んでいる。そして流れるからこそ、それは滝と呼ばれるのだ。 だが冷たさを忌避し、水を清めることを怠った時から、それは滝ではなくなる。淀んだ水はいつしか腐臭まで漂わせ始め、水面からはその底を窺い知ることすらできなくなってしまう。 そして、そこに住む生き物さえ汚(けが)れて行く・・・。 人はどうして考えないのだろうか? 今の徳川幕府が治める世が、まさにそのものだと言うことを。 ピチャン。 物思いにふける天戒の耳に、静かな水音が届いたのはその時だった。 彼でなければ聞き逃していただろう。それは滝の音ではなく、何かが水の中へ入って行くような、ささやかなものだったから。 慌てて目を凝らしたところ、滝壷へ目掛けて1つの人影が泳いで行くのが見える。 それは紛れもない、彼がずっと気配を追って来た人物のものだった。 ********************** ───名を緋勇龍斗、というその者は、男名でありながられっきとした女である。 だがその事実を、外見だけで推し量ることは難しい。現に天戒たちも、つい先日までは彼女のことを男と思い、一緒に寝起きなどしていたほどだ。何せ動き易いように、旅の道中危険に遭わないようにと、彼女は男のなりをしていたし、涼やかでその実激しいものを秘めた目は、とても弱々しいものには見えなかったからだ。おまけに彼女がひとたび拳を振るえば、そこらの浪人など蹴散らしてしまうだろう。 ───風貌こそ確かに、どこか中性的なものでありはしたが。 仲間の1人・桔梗を通して彼女の実力を見て取り、鬼哭村へ連れてきたのが1ヶ月前。馴れ馴れしいとは程遠くも、やや消極的ではありながら極めて友好的な彼女の態度に、この頃村人も徐々に親しみを覚え始めた。 どうしても封鎖的な村中にありながら、穏やかな光を感じさせる彼女の気質は人を惹き付ける。それは天戒たちも同様だった。いつしか龍斗は、昔からこの村にいた、必要不可欠な存在だったと言う錯覚まで感じていたものなのだが。 ───その均衡が最近になって、少し崩れつつある。 ここ数日、彼女は元気がなかった。何かすると考え込むようになり、深く溜め息を吐いている。ただそれだけなら単なる物憂いだと解釈しただろうが、顔色も悪くなり、どうやら夜も眠れないでいるらしいとなると、話は別だ。 男相手なら話せないことも、あるいは同性相手になら───。桔梗にそう提案され、しばらく様子を見ていたものの、どうやらさしもの桔梗も悩みを打ち明けられる対象にはならなかったようで。龍斗の血色の悪さは、日に日にひどくなっているのが現状である。 もともと線の細い印象を受ける龍斗だったが、最近は儚さまで伝わってくる。口の悪い風祭ですら、気に病んでいつものようには彼女に突っかからない始末だ。 まるで今にも消え入りそうな気がする、と言って・・・。 ************************ ───そんな最悪の体調のはずの彼女が、着衣のままとは言えどうして水になど入るのか。天戒は気が気ではない。 <馬鹿な・・・今の季節はまだ、ここの水は切るように冷たい。それを日の出ている昼間ならともかく、こんな寒い真夜中に泳ぐなど自殺行為に等しいではないか!> ───そう思った時、天戒は自分の考えにぞっとなる。 <まさか・・・まさかここで死ぬつもりではあるまいな!?> 水の中へ入ろうと、とっさに水辺に駆け込む天戒だったが。 「・・・・・?」 激しく流れ落ちる水の下で、座禅を組むようにして座り込んだ彼女を見た時、一瞬にして不安は霧散した。 龍斗は目を閉じて座っていた。明らかに、自らの意志で。 今の彼女からは、確かにある種の痛々しさは感じられはする。だが、昼間感じる儚さは、微塵も伝わって来ない。 <何か・・・意味があるのか? この行為には・・・> 今の龍斗には、他人の介入を受け付けさせないような、妙な迫力がある。そう、固い決意のような・・・。 「・・・・・」 天戒は溜め息を1つつくと、彼女が滝の下から出てくるのを待つことにするのだった。 むろん、体力的に無茶だと判断すれば、無理矢理にでも岸へ引っ張り上げるつもりで。 **************************** ───結局、龍斗が滝から岸へと上がってきたのは、天戒がそろそろ無理にでも・・・と動こうとした、まさにその時である。 濡れた髪をかき上げながら岸へと戻って来た龍斗は、さすがに天戒の姿に驚いていたらしい。 「天戒殿・・・」 「待ちくたびれたぞ龍斗。真夜中にご苦労なことだな」 緩やかに笑って迎えると、彼女もつられて笑みを漏らす。夜の闇もあいまって、どこかやはり儚い印象は受けたが。 「・・・すみません。皆を起こさないよう抜け出したつもりだったのですが、かえって気を遣わせてしまったようですね」 「いや、気に病むことはないぞ。たまたま目が覚めていただけだ」 言いながら、自分の羽織っていた着物を龍斗にかけてやる。水に濡れた着物が、女人の肌を隠す役目をもはや果たし得ない、と言うこともあったが、何より今の彼女は儚く、痛々しいことこの上なかったから。 唇は青褪め、体中の血色も悪く、おそらくは寒いのだろう・・・歯を食いしばっているものの、体の震えは隠しようがない。 「・・・一体何があったと言うのだ? この季節の水浴びなど、正気の沙汰ではないぞ。良かったら、何がお前をそうしているのか、話してはくれないか?」 思い切って天戒はそう尋ねてみる。 心配をかけた挙げ句に、着物まで貸してもらったとあれば、黙っているわけにもいかない───そう思ったのか、龍斗は何度かためらった後、困ったような笑みを浮かべてこう、告げた。 「大した意味はないのですよ、天戒殿。ただ・・・さきほど悪夢を見たものですから、夢の名残を少しでも消したいと、そう思っただけなのです」 <続>
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