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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
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1997年09月27日(土)
「自然との会話」共生に不可欠(39歳)

静岡新聞 夕刊(読者のことば)

中学校の修学旅行以来の金閣寺、銀閣寺を訪れた。
何十人ぶりに訪れた金閣寺、銀閣寺は、中学生の時、
脳裏に焼き付けた大きさより、予想外に小さかった。
今回、のんびり歩いてみると、
庭園のコケがきれいにそろっていることが気が付いた。
その庭園を、多くの老人が丁寧に作業していた。
「ご苦労さまです。ところで、何をしているのですか」と
声を掛けてみた。
返ってきた答えは「落ち葉を拾っているんだよ。
そのままにしておくと、コケが死んでしまうから。
このコケも自然だけでは保存できない。
人間が助けてやらないと」という意味の京都弁であった。
「人間と自然の共生」
頭では分かっていても、なかなか理解できなかった共生の意味が、
こんな老人との会話でヒントを掴むことができた。
彼らは、この作業をとても楽しそうにしている。
「将来の子供たちに、この景色を残したいんだ」
という意味の京都弁が、妙に新鮮に聞こえた。
自然を残す、ということは、簡単そうで難しい。
共生とは、共に生きることであるから、私たちのできることは何か。
自然との会話をするところから始まる気がする。