little by little
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再会は、二年振りだった。
二年前に比べれば、 彼は少し太っていたし、 二年前に比べれば、 わたしのお化粧は濃くなっていた。
大好きで、愛しくて、全てが欲しくて、 だけど、なにひとつ手には入らなくて・・・。 どんなに望んでも泣いても喚いても、 きっともう二度と逢えないと思っていた彼との再会は、 共通の友人の仏前参りに訪れた三月の東京でのハナシ。
二年間、全く連絡すらとっていなかったわけではなかった。
何度も逢いたいと思った。 広島駅でのあの夜が最後だなんて思いたくなかった。 でもそれは叶わなくて、わたしはずっと空回りだった。
時間は流れ、わたしには「誠実」な恋人ができた。 彼にも「いいひと」がいるのだろう。 電話は、たまにしてたけど、 もう「逢いたい」なんて言うことはなくなった。
あれは、あの日々は、あの想いは・・・ 全部間違いだったということにすることでしか、 わたしはわたしを慰める方法を知らなかった。
恋人は、誠実で優しくてマジメで・・・。 なによりわたしを好いてくれていたし、 わたしは恋人に焦がれることはなかったけれど、 此の歳になって、愛だの恋だのに想いを馳せるほど幼くはなかったから、 ・・・少なくとも其の時は、そう思っていたから、 恋人と一緒に居る自分を嫌いではなかった。
だけど、三月の東京の風は、まだ少し冷たかったし、 広島に比べて多すぎる人波は、 彼との時間を蘇らせるには十分過ぎた。
繋ぎたくて仕方なかった手は、 やっぱりまだ遠くて、 服の裾を掴むのが精一杯だった。
大好きで、愛しくて、全てを欲しいと望んだ彼は、 数十センチの距離で、わたしの斜め前を歩いていた。
それは、三月のまだ肌寒い東京でのハナシ。
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