little by little
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恋人とは、あまり身体の関係はなかった。 恋人のことを可愛くは思えど、 ときめいたり・・・なんてことはなかったから、 長年連れ添った夫婦のように、 みんなでお酒を飲んだり、 二人で美味しいものを食べに行ったり、 それが楽しかったし、それでよかった。 一年のお付き合いの間で、 それはずーっと変わらなかった。 最初から「縁側でお茶を飲んでるような関係」 わたしには、その距離がちょうどよかった。
三十歳も近づいてきて、 性欲も枯れたかなぁなんて、 友達には、笑って話してた。
恋人は、そんなわたしにもとても優しくて、 つい呑みすぎて終電を逃しても、 夜中だというのに迎えに来てくれて、 家まで送ってくれた。
わたしの友達のことも、 反対方向なのに「ついでだから」と送ってくれて。
変則勤務の仕事に就いているわたしに会うためだけに、 折角のお休み、たった一時間弱、一緒に居るために、 一時間かけて会社まできてくれたり。
出来得る限りの努力をしてくれていたと思う。
たくさん我慢だってさせていたと思うし、 背伸びだってさせてたと思う。
だから、当たり前だけど、 一年の間、浮気なんてしなかったし、 恋人と友だちと仕事と。 それなりに色々あったけど、 全て上手くいってたと思う。
東京に行くことは、恋人にも話していたし、 彼と会うことも告げていた。
「信じてるから。」
信じるしかない恋人は、 きつく抱き締めながら、そう言った。
「大丈夫だよ。」
そう思ってたんだよ。 本当に。
でも、東京に行かなきゃよかったね。 行かなかったら、今もあの頃のままだったと思う。
ごめんね。
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