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アリス イン アンダーグラウンド - 2009年01月25日(日) 先日、招いてはいないが待ち兼ねた客が訪れた。 待って待って待ち続けていた。 彼らは言った。 「王国から来ました」 私がその「王国」の住人に出会ったのは、3歳の時だった。 陽に透けそうに色の白い少女は、私に何の前置きも無く言った。 「●○○●●○って知ってる?入ってる?」 少女はその「王国」で純粋培養されていたので、自分と他の子供たちは同じだ、と思っていたのだろう。 幼稚園で同じクラスだった少女は、度々『宗教上の理由で』催し物に参加しなかった。 雛祭り、端午の節句、七夕、…その催しに彼女は参加せず、一人、自分のクラスで待っていた。 子供たちは、そういうお祭りで、『四季』を脳裏に焼き付けてゆくのに。 そして季節が巡り、私たちは多くの時間を共に過ごした。 ただ、部活が大晦日と正月しか休みのない、徹底スパルタ部活だったので、過ごした時間は教室の中ばかりだったわけだが。 彼女と私は、よく「王国」の話をした。私は、ただの興味、好奇心で。 彼女の理由は、また違っていたが、『そのとき』の私に知る由も無く。 話せば話すだけギチギチと歯車が軋んでいく…そう感じながら、私は何も気付かなかったので、『宗教上の理由』で、彼女と袂を分かつ事になった。 …これで終わりなら、特に「王国」をそんなに膿み続ける疵のように怨みはしない。 私は、知らなかった。 彼女と「王国」を語る時、私は私であったけれど、彼女は「王国」の代表ではない。 今ならそれに気付けたのに、中学生のあの頃には、気付く事が出来なかった。 私が「袂を分かった」と「解釈」していた頃も、ずっと彼女は私を避け、そして多分、泣いていた。 彼女は、私に告白をした。 私に対して、ソドミィの感情を抱いていると解ってしまったから、私から離れたのだと。 彼女は、生来「王国」の子だ。 自分の中にその答えを見つけてしまった時から、彼女の心はゲヘナに灼かれていたのだろうか。 潔癖な彼女が、私にそれを告げたその時、残酷にも、どう答えたのかは覚えていない。 けれど、「神様」よりも、私の心を欲しがった彼女を、今は愛しいとすら思える。応えてはあげられないけれど。 そうして『膿み続ける疵』となった「王国」の住人がまた一人、我が家の扉を叩いた。 私は、彼らが来る事を待ち続け―――ハレルヤ。 上位捕食者の気分だった。肉食獣の気分で、嘘の微笑みを浮かべ、彼らと対峙した。 何故、性が同じなだけなのに、魂を愛する事を赦さないのか。 愛した魂の持ち主が異性でなければ、その魂は石持って追われる。彼女は、彼女の心に教育されていた、『禁忌』を冒す――あるいはもう冒してしまった――恐ろしさに、きっと苦しんだのだ。 彼女の苦しみを思うと、「王国」の人々を軽くシメあげたい訳です。 そして、彼らは来た――最初は何も知らないふりでただ話を聞いていた、猛禽類の気分だった。どこから滑空して、どこからつついてやろう? しかし彼らは焦れったかった! しかもアホの子だった!! …イライラしてきたので、その「王国」の名をズバリ指摘し、彼らが教典として使用しているBOOKの矛盾点をひとつふたつつついた…それだけで、逃げた…!! 喉笛に噛み付く直前に、さらりと逃げられてしまいました…… さすがにこんな事があったので、彼女の拙かったけれど一生懸命な心に、想いを馳せました。 -
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