「硝子の月」
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2003年02月19日(水) <発動> 瀬生曲

 呟いたけれど、自分の声がやけに耳についただけだった。
 何も見えない。目を開けているはずなのに。
 目を閉じる。
 やはり、白い。
 それがひどく不快だった。目を閉じてまで視界が白いなど有り得ないはずである。

『ようこそ』

 不意に、声がした。実際には声ではなかったのかもしれないが、ティオには他にそれを表せるような言葉がない。
『来たね。来るべくして来た者よ』
 感情のない声だった。


紗月 護 |MAILHomePage

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