「硝子の月」
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「……それで?」 グレンは慎重に言葉を紡ぐ。それも老王のお気に召したらしかった。 「カサネからの報告でな。『硝子の月』に最も近いのはお主等だと」 「…………」 確かに『紫紺の翼持ちたる証』のルリハヤブサを連れた少年や「運命を知る」という少女がいて、『第一王国』の王に『硝子の月』の解放を約束された自分達は今それに最も近いのだろう。 しかしグレンはまだ黙っていた。どこか、『硝子の月』に近いのは彼等であって自分ではないという引け目があったのかもしれない。 その沈黙をどのように解釈したのかはわからない。しかし、どうであっても頓着しないであろう明るい表情で老王は続けた。 「そこで、だ。儂も仲間に入れてくれんか」
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