のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年02月06日(水) 目覚し時計

 ウチの親父が時計会社に勤めていたこともあって、実家では“時計はお父さんが会社からもらってくるもの”という認識が強かった。俺が今常用している腕時計は、結婚する際にツマからプレゼントしてもらったもので、それまでに“自分で買った”時計はスウォッチがひとつだけ、だと思う。
 ウチの実家を知る人なら想像できるだろうが、それはまあ沢山の時計が家のあちこちにあった。
 リビングだけでも壁掛け時計がふたつ、置き時計が3、4個はあって、戸棚の中に親父が大切にしていた腕時計が5、6個はあったと思う。
 壁掛け時計は、ひとつが鳩時計で、もうひとつが仕掛時計。正時になるとあっちから鳩がぴっぽろぴっぽろ鳴きながら飛び出してきて、こちらの仕掛時計では、その文字盤が左右に開いて中から人形が出てきてファンファーレとやかましいメロディを奏でる。それとほぼ同時に、メリーゴーラウンドをかたどった向こうの置き時計がくるくると回りながらやはりずんちゃかずんちゃか言いだすのである。
 
 やかましくて仕方がない。

 例えば夜中に、TSUTAYAで借りてきた『羊たちの沈黙』あたりを観ていたとしよう。ムードを出すために、当然部屋の電気は消してある。ぐっと息を飲む緊張のシーン――というあたりで、まったく能天気にぴっぽろぴっぽろパンパカパーンずんちゃかずんちゃか、と鳴りだすことがある。

 やかましくて仕方がない。いや、ホントに。

 俺がこだわって使っているのが目覚し時計。
 セットした時間にけたたましく鳴る音がベル音だったりアラーム音だったり、というのが主流なのだろうが、俺は高校時代から『音声』が鳴る目覚し時計を使っている。
 朝になると『ピピッ……ロクジ、ジュッップンデス。ロクジ、ジュッップンデス。』
 ベル音やアラーム音よりも、さらにカンに障るのがいい。
 セットする時間は、微妙に時間をずらした方がいい。それも促音が入る時間を時計に喋らせるようにしたい。
『ロクジデス』よりも『ロクジ、ジュッップンデス』のほうが耳障りなので、そらもう目覚し効果はてきめんである。ただ、ツマにとってもこの声は耳障りで、どちらかというと『お願いだからソレやめて』というレベルで嫌いらしい。
 この『音声』目覚まし時計も年季が入ってきて、そろそろガタがきているので新しい『音声』ものに買い替えたいのだが、果たしてツマが許してくれるだろうか。


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