のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2002年03月06日(水) 春来たるらし

 ふとタイトルのようなフレーズを思い出したのだが、なんか、こういうのあったよね。よくは覚えてないんだけど。
 というわけで3月になりました。
 今日は気温も15度くらいまでは上昇したらしく、営業車で走り回る俺もはじめて車のヒーターを一日付けることなく過ごしました。日中は窓を閉め切っていると暑いくらいで、うっすらと額に汗までかく始末。車内着用に買ったユニクロのフリースもそろそろお役御免となりそうです。

※  ※  ※

 今日はいろんな話が出てくるので覚悟するように。なんたって久しぶりの更新なので。
 と言うのも、2月末に仕事が一気にバタバタと忙しくなったせいなんだけれど、帰宅も遅くなり、睡眠不足が2、3週間は続きました。先日はついに耐えられなくなって、某コンビニの駐車場に車を止めて1時間以上も爆睡してしまった。お店の従業員には迷惑な話だよなあ。
 そのバタバタ期間には仕事以外にも重要な任務があった。それは招待されている大学時代の後輩の結婚披露宴でのスピーチを考えなければならない、ということ。後輩から依頼されたスピーチを軽く請けたはいいものの、なかなかゆっくりと考えをまとめる時間がない。営業車で移動する道すがら、ハンドルを握りながら、
「――ええ、只今御紹介いただきました……」
 なんてぐあいにちょこっと練習する程度。まあ、なんとかなるだろう――と思いながら当日を迎えるハメになってしまったのだ。
 その披露宴は3月3日のひなまつりの日だった。ちょっと薄曇りの肌寒い日だった。
 新郎新婦が二人とも大学の後輩、ということもあって、俺と共に招待された大学時代の仲間に会うのは実に卒業以来、というような奴もいて、ちょっとした同窓会気分だった。年賀状の写真では見ていたが、もう子供もいる後輩がたくさんいる。当時カラオケで『お久しぶーりいねえ〜』などと絶叫していたオンナがいいお母さんになっている姿は実にほほ笑ましい。
 新郎新婦の普段のキャラがにじみ出ていて、とてもいい披露宴だった。考えてみれば、新郎や新婦と親しい仲間が沢山招待されていたのだから、俺がスピーチなどさせてもらってよかったのだろうか、とふと考える。たいへん厳しい方、と聞いていた新婦のお父様の、披露宴の最後に新婦が読み上げた手紙を聴いている時の眼がとても優しくて、ちょっと胸を打たれた。
 その帰り道、俺と同じ西武線で帰る後輩と電車の中で“川越トーク”で盛り上がった。
 彼女は川越在住であり、俺は仕事で川越を担当している。俺は彼女から“美味い店”をいくつも教えてもらったので、仕事の合間を見つけて足を運んでみようと思う。
 彼女が教えてくれた店で一番興味を覚えたのが、川越市役所の近くにあるという『岩田屋』と言う店。
 聞けば、そこは夜の10時くらいから店を開くパン屋らしい。いわゆる“あんバタ”を売る店で、結構な行列を作る店だという。オカマっぽいおじさんが注文を受けてはもたもたとパンにあんことバターをぬり出すのだ、という。
 なぜ夜の10時開店なのか? そんな時間に行列が出来ているのか? 本当にオカマのおじさんが店を切り盛りしているのか? 彼女の話を聞けば聞くほど俺の好奇心はかき立てられた。
 彼女に謎の店『岩田屋』を教えてもらったその二日後、俺はわざわざ遅くまで残業して(2月28日にオープンさせた川越の店に行って、アルバイトの指導をしていた)、10時近くに彼女に教えられたとおりの場所を目指した。
 あった。小さな駄菓子屋のような店構え、あたりは当然店仕舞いをしてしまっているのに、ガラス戸から柔らかな蛍光灯の白い光が道路に漏れて、そこだけぼんやりと浮かび上がっているようにも見えた。なんかココだけカッコつけた表現になってしまったけれど勢いだからしょうがない。
「あはは、本当にあるよ!」 俺は明らかにニヤけ顔になり、そう独りごちた。
 狭い店内ではすでに5人の先客がいた。恐る恐る店内に入ってみると、ショウケースの中に様々な種類のパンがずらりと並べられていて、その向こうにはおじさん――というよりは明らかにおじいさん――がたった一人で客の注文に答えていた。
 オカマのおじさん、というわけではなさそうだが、明らかにパンにあんことバターを塗る仕草は妙に女性っぽかった。俺は“あんバタ”を買って車の中で食べた。素朴な、懐かしい正統派の味だった。
 妙に暗算が早い、オカマ風おじいさんの切り盛りする謎のパン屋『岩田屋』は、確かに実在した。
 話はまったく変わるけれど、2年前にその兆候を見せていたのだが、どうやら俺は軽く“花粉症”になっているらしい。
『エイズと花粉症にだけはなりたくない』などとかつて暴言を吐いていた俺も、ついに春先にはぐずぐずと鼻をすすり上げるようになってしまったのだ。まあ、今はそれほど深刻な症状はなく、ほんの一時的にクシャミが止まらなくなったり、通常より鼻をかむ回数が増える程度だが、これが来年再来年となると症状が徐々に深刻化してゆくような気がしてならない。

 一気に書いたけれど、まとまらなかったなあ、やっぱり。


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