石の上にも三年。三度目の正直。二度あることは三度ある。三年寝太郎。これはちょっと違うか。 おかげさまで三度目の結婚記念日を迎えた。4月17日。聞けば、この日はあの年、阪神甲子園球場で槙原がバース・掛布・岡田にバックスクリーン三連発を喰らった日と同じらしい。そんなことを教えてくれなくてもいいのに(でも小ネタで使える、と思った俺も俺だけど)。 さだまさしのリサイタル衣装、と揶揄された俺のタキシード姿からもう三年の月日が流れた。あ、今、誰か思いだし笑いしただろう。沢山の仲間達に集まってもらった二次会はいまだに思いだすほど楽しいひとときであった。ああいう楽しい集まりはそうは何度も出来ることではないが、チャンスがあればまたやりたい、と思うほどである。 その結婚記念日、連日二十三時過ぎまで残業する日々が続いていたが、さすがにこの日ばかりは早い時間に帰宅した。早い時間と言っても二十時はとうに過ぎていて、花束のひとつも買って帰ろうかと思っていたものの、めぼしい花屋はすでに閉店してしまっていて手ぶらでの帰宅となってしまった(一応、入籍記念日にはささやかな花束を買って帰ったんだぞ)。 前日にリクエストしたとおり、ツマは“結婚記念日用ごちそう”を作って待っていてくれていた。 この“ごちそう”という響きが子供っぽくてよい。 どんな献立だったか、とココで詳細に披露することはツマに禁じられている。「大した料理でもない、と思われるじゃない」とツマは言ったが、オットの好みをピシャリ抑えたスペシャルな“ごちそう”をツマは作ってくれた。 好物の“生春巻”が久々に登場した。これが旨いんだ。冷やしたグラスにビールを注ぎ、軽く乾杯。基本的には“コメ”が好きな俺だが、この日食卓に登場したのはガーリックトースト。これがまたしみじみと旨く、翌朝のツマの朝食用とされていた分まで俺が平らげてしまった。 デザートのケーキにもさすがにふたりとも満腹状態。結婚記念日だから、というわけではないだろうがいつも以上にふたりの会話も進み、笑顔の晩餐――と相成った。
良いことも良くないこともある結婚生活だが、まずは忘れてならないのは『感謝の気持ち』と俺は思っている。些細なことだけれど、ツマが俺にコーヒーをいれてくれれば必ず『ありがとう』と一言添えるようにしている。それがどーした、ということかもしれないが、とりあえず『感謝の気持ち』を口に出して言おう、ということで。 今日は甲子園球場で熱投を観せた桑田が接戦の末に勝ち投手となった。抑えの河原投手が最後のバッターを打ち取ったとき、俺とツマは「桑田が勝ったね!」と喜んだ。桑田の今季初勝利は勿論嬉しかったけれど、なによりツマと延長十回ウラの攻防を一緒に息を飲んで観ている、というのが、ナンカ嬉しかった。
結婚記念日。どうも甘ったるい響きではあるが、悪いもんじゃない。
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