のづ随想録 〜風をあつめて〜
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【のづ写日記 ADVANCE】

2004年05月26日(水) 最短記録

 別に藤原紀香がついてくることは最初から期待していなかったが、今、俺が住んでいるのはレオパレス21。敷金・礼金不要、というアレです。今時風呂とトイレが一緒になっているようなユニットバスは賃貸業的には少なくなってきているのだろうか、俺が住んでいる部屋も一応それは別々になっている。しかし、バスルームの狭さは筆舌に尽くしがたい。あれほど小さい湯船だと、湯を張って肩までゆっくり浸かろうなどとはとても考えられない。
 よって、“スーパー銭湯好き”のワタクシは鳥取に入ってからすぐにそういった類の大型銭湯施設を探し始めた。

 これが、ない。

 娯楽の少ない地方都市ならそんなスーパー銭湯のひとつやふたつもあってよさそうなものだと思うのだが、インターネットで調べても、仕事中に車で走っていてもまったく見つからない。鳥取駅の近くに「温泉町」とかいう地名があって、確かに古くから営業している地元に根付いた銭湯が幾つもあるようだが、俺が求めているのは“銭湯”じゃなくて“スーパー銭湯”です。でっかい湯船に露天風呂は必死、サウナは2種類くらいあって、ジャグジー風呂の寝そべり具合にはちょっとワタクシうるさいですが、風呂上りに美味い日本茶とソフトクリームが食べられる食堂があって──という、しっかり設備の整ったスーパー銭湯が好きなんです。
 で、発見したのが俺の部屋からほど近い『M屋』。意味もなく伏字にしてみます。スーパー銭湯と呼べるほどの敷地も建物の大きさもないけれど、まあ“天然温泉”なんて看板も掲げていることだし、とりあえず、とりあえず。
 昨日、部屋で夕食のローソン弁当(!)を食べ終わり22時半。昼間に下見をしたとき(仕事中に何をやっているんだ、俺)『M屋』の閉店が24時であることを確認していたので、まあゆっくり1時間ちょっとは久々の大きな湯船を満喫できるな、などと考えていたのだが。しかし。

 史上最悪の銭湯、と呼びたい。
 これほど「早く風呂をあがって帰りたい!なんなら、部屋に帰ってからシャワーを浴びたい!」と思わせる銭湯がかつてあったろうか。

 よく見てみると、入り口からして奇妙だった。山崎パンのバット(コンビニなどに納品されるときにパンが入っている大きな四角いプラスチックのケース)が古びた樽の上に積まれていて、そのまわりはなんだかわからないものが雑然と放置されている。『M屋』の暖簾をくぐった瞬間に俺は思った。
「……失敗した」
 なんともおんぼろな下駄箱。食堂と呼べないこともないがあまりそうは呼びたくないスペースには、手書きの煩雑な文字の標識に「準備中」とあって、中学の技術家庭の時間に作ったような木製の椅子がひっくりかえったかたちでテーブルの上に並んでいた。入浴料380円を払うとロッカーキーを渡されるのだが、これまた粗末なゴム紐にチープな鍵が結び付けてあるようなそれ。
 「男湯」の暖簾をくぐると、俺の絶望感は頂点に達する。着替えを入れておくロッカーの扉が赤茶に錆び付いており、水にぬれた床も妙にヌルついているような気がして気持ちが悪い。その気持ち悪さは風呂場にも継承されていて(継承すんなよ)、汚れなんだか経年のせいなんだかよくわかんないけどプラスチックの腰掛けや風呂桶が妙に変色しているし、洗い場の鏡は水垢の汚れが目立つし、床のヌルヌル感はおもわず爪先立ちになってしまうくらいだ。
 つい先日ニュースの特集で観た『○×温泉で衛生管理の不行き届きから、利用客数十名がナントカ菌に集団感染』とかいう背筋の凍る、というか足の裏がヌルつく話題を思い出した。
 とりあえず、顔と頭と体を洗って、逃げるようにその銭湯を出てきました。多分、20分と滞在しなかったと思う。
 部屋の風呂は狭く、部屋の近くの銭湯は絶望的にボロい。
 大きくて気持ちの良い風呂に入りたいよー。


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