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静かな夜 ‐ＰＰ番外編

「マスター、起きてるかい？」
草原で鳴く鈴虫の声に紛れて聞こえた囁き声。
ともすれば聞き流してしまいそうな小さな声に、私はうとうとしといた顔を上げた。
「…ん？」
覚醒しきらぬ頭で声の主を考える。
変声期前の男の子の声は頭上から聞こえた。
ということは、木の上で女の子組と離れて寝ているクラフトだ。
「どうしたん？」
仰向けになり、居るであろう方向を見つめる。
枝の上で細かい光が弾けた。ひゅっ、と一瞬後、私の枕元に彼がいた。
「へへっ眠れないんすよう。マスターの昔話が聞きたいなぁ〜？」
…甘えた声に聞こえるのは、絵本を読んでとせがむ子供のイメージと重なるからだろうか…。
仕方ないねぇ、と息で笑った後まるで母親のように静かに語り始めた。
この島に来る前に住んでいた故郷を思い出しながら……。


つづく

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2001年09月20日(木)　沈。
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