人の世は
人の世は幻
故に儚い
けれど
存在しないわけではない
人の世は幻
故に哀しい
けれど
喜びがないわけではない
人の世は
儚く 哀しい
けれど
生きてゆくしかあるまい?
たとえば 君が
雨の日は
外には出ない
靴に
穴が開いてるから
冠婚葬祭には
出席できない
破れたジーンズしか
持ってないから
君が 何処で
愛を叫んでも
人々の心には届かない
誰も
本当の愛を知らないから
春風
涙に
気づかぬふりをした
君の望む優しさが
分からない
日毎
街は春めいて
二人の心は
離れたまま
囚われて
今日も
沈丁花は
風に
吹かれているだろうか
私は 未だ
塔に
囚われている
塔からは
鳥さえも
目にすることは出来ない
愛する人よ
あなたも
また
彷徨っているのだろうか
この荒野を