想う人
いつしか
君をさがして歩くことが
日課になって
楽しくも切ない時間-とき-を過ごす
こんなにも募る想いを
君は知らない
僕は想いを伝える術を知らないから
願いはただひとつ
君が誰かのものでなければいいのに
三日月の夜
君を探して歩く街角
逢いたいと願う時には逢えずに
寂しさ忘れて家路につく
人はこんなにもあふれているのに
君だけがいない
彷徨
眠れない街に
ノイズの雨が降る
逢えない君をさがして
歩いている
どこからか
「アヴェ・マリア」がきこえる
ネオンにさえぎられて
唄いびとの姿は見えない
いとしい人よ
君をさがして歩いている
午前4時の鳩時計
あおる酒も
むなしく喉元を通りすぎる
煙草じゃ心は癒せない
薄暗いカウンターで
安っぽい唄を聞きながら
独りごちて
宿命
あなた
宿命-さだめ-とは
かくも酷なものなのです
がらんどうの部屋で思うのは
日々の苦痛と苦い愛
逃れられぬ宿命であるから
わたしたちは泣き、笑い
それでも
歩いていかなければならないのでしょう
アップルジャック
逢いたいと願う時ほど
逢えずにいるの
夜の永さに堪えかねて
トランプの札を捲ってみる
キングは淋しい笑顔で
慰めてくれるけれど
心の穴を埋めてはくれない
月が深く頷いて
夜が更ける
逢えない夜が
タダキミヲオモフ
どうせ失ってしまうものなら
いらない