クリスマスローズ (画像削除)
寄せ植え (画像削除)
雪割草 (画像削除)
カンツバキ (画像削除)
南東側の様子 (画像削除)
月桂樹 (画像削除)
□ 山下みどり台小学校植樹祭(横浜)
鉢植え球根の芽 (画像削除)
椿 (画像削除)
ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum
梅 (画像削除)
覚書
鎮守の森 宮脇 昭 著 曹洞宗 板橋興宗禅師と著者の対談より
板橋 : 実は先生にお会いする前、境内にアテという木を植えようと思っていたことがあったのですよ。 宮脇 : アテというと、たしか能登ヒバの別称ですね。輪島塗の素材にもなる。 板橋 : ええ、そうです。九〇年前まで總持寺は能登にありました。能登の總持寺ですな。明治三一年に大火に遭いまして、大部分の建物が焼失してしまった。当時の貫首が「永平寺と總持寺の両方が北陸の辺鄙なところにあっては、今後の宗門発展のためによくない」と、能登の地域住民の猛反対を押し切り、總持寺を現在の横浜市鶴見区へ移転したのです。アテの木は石川県の県木であり、能登は特にアテが多い。總持寺の門前には今もアテの元祖という木があるんです。どういう由来の木か知りませんけど、みんな元祖だと言ってます。私は最初、能登の人たちに募金をしていただいて、まわりをアテの木で囲もうと思ったのです。すると、以前にもそういう計画はあったが、うまくいかなかったという話が伝わってきた。能登のアテはここ(※)ではよく育たないらしいのです。ああそうか、地のものは地のものでなきゃならんと納得しました。 宮脇 : 私たちは潜在自然植生と呼んでいますが、実際に木を植える前に、その土地の植生を徹底的に調査して、森の主役となる木やそれを支える脇役の木を見つけ出すんです。鎮守の森をつくる上では、そういった主木、自生可能な土地本来の「ふるさとの木」が不可欠なんですね。森が発展するかどうかは、その主役の木にかかっている。この大本山で言えば、タブノキやシイやカシ類がそれに当たります。 板橋 : 主役の木とそうでない木は、どうやって見分ければいいんでしょうか? せっかく植えるなら、この土地にふさわしい「ほんもの」の木でなければいけませんね。 宮脇 : これは一筋縄ではいきません。見た目ではまったくわからないのです。会社や組織と同じで、一見、偽物のほうが「・・・・・・らしく」見えるんですよ(笑)。 では、どうすればいいのか。たとえば、同じ土壌条件であったら、日の当たりを悪くしてみる。それですぐ枯れてしまうものは偽物。ほんの少しの日光で我慢できる、生き延びられるものが本物なんですよ。明らかに差が出てくる。条件を厳しくしても一〇〇年、二〇〇年と生き続けて、その土地の主役になる木、それが潜在自然植生の主木なんです。土地に合わず、地中に深く根を張ることができない偽物は、強風で倒れてしまうし、あっという間に枯れるんですね。 板橋 : 最近読んだ本に出ていたのですが、明治天皇とその皇后を祭神として明治神宮を造営した際、当時の政府は最初、マツやスギを植林の中心に考えていたようなのです。そうしたら、植物学者たちが反対した。それに対し、時の内務大臣であった大隈重信は「伊勢神宮の森にはマツやスギがあるじゃないか。あんなに鬱蒼としている」というようなことを言ったらしい。たしかに誰だってそういう発想をしてしまいますよ。神社にも寺にもスギの木は多いですから。永平寺にも五代杉なんていう巨木が並んでいる。 宮脇 : しかし、本来、岩場などの厳しい条件下でのみ自生しているマツやスギを主役の木に据えてしまったら、鎮守の森づくりはできません。当時の植物学者たちもそれを知っていたんですね。 板橋 : きっとそうなんでしょうな。ただし、明治天皇の御霊のためにと、スギやマツなども含めて全国から一〇万本もの樹木が献納されたそうですから、それらはとりあえず見栄えのいい場所に植えた。学者たちはそういった事情を考慮に入れた上で、先生のお考えと同じように、要所要所に、いずれはこれが主木になるだろうという木をちゃんと植えているんです。 宮脇 : 創建は大正九年(一九二〇年)ですから、平成十二年でちょうど八〇年になる。 板橋 : あれだけ広ければ、昭和二〇年の東京大空襲ではきっと焼夷弾の被害に遭ったはずです。一〇〇発ぐらいは落っこちたんじゃないですか。明治神宮がスギやマツばかりの森だったら、もう薪小屋へ火をつけたようによく燃えますよ。スギやマツというのは、マッチを擦って火をつけるのは難しいけれども、一度燃え始めたら、もう手がつけられなくなる。 宮脇 : 脂分を含んでいますからね。 板橋 : つい最近、「千年の森」構想のためにと、私も二度ほど明治神宮をこっそり見に行ったんです。当然ですが、森が焼けた跡なんて一つも見つかりません。ところが、本殿や社務所の方はやはり空襲の被害に遭ったそうです。 宮脇 : 焼夷弾に耐えたのは、シイ、タブ、カシ、クスといった常緑広葉樹でしょう。スギやマツは年月とともに衰えて、森は常緑広葉樹林へと遷移していった。 板橋 : そういった木をきちんと植えていたからこそ、明治神宮の森は空襲にも焼けずに残ったんでしょうな。 宮脇 : ええ、そう思います。造営に携わった植物学者たちには、まさに先見の明があったということですね。
※ 横浜市鶴見区
梅 (画像削除)
シロダモ (画像削除)
クロッカス (画像削除)
スノードロップ (画像削除)
|