||〜*…clover…*〜||
There are all in one.
◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆
俺はどうしていつまでたっても 彼女の居場所を作ってやれないんだろう
その疑問すら ぶつけるわけには行かない
別にいいよ、なんて彼女は言わない
ただ 笑って
「そうだよ。頑張りたまえよ、それが君の役目なのさ」
責めはしない ただし 赦しもしない
もういっそ俺さえいなければなんて自虐すら愚言で 呆れるほどに呆れた。
あたしの理想は完璧だった もちろんそんなものは実在しなかった だからあたしは理想になった
当たり前のようにハリボテだったけど。
しかし理論は証明された あたしの理想は完璧だった
机上の空論ではないことが証明されて 同時に 存在し得ないことも証明された
ハリボテを引っさげて 絶望を振り撒きに行く 理想を悉くぶち壊して そんなものは存在しないのだと
偽悪か偽善か
そんなものは決まっている どちらでもあり、どちらでもない
分けること自体が ナ ン セ ン ス
その日は馬鹿みたいに雪が降って手紙を2件、届け物を1件、お使いを3件とこなした仕事は普段から比べると全くありえない量だった。 「ゆーーーーきーーーー」 「ゆうううううきいいいいいいい」 暑さに弱いが寒さにも弱い。悪態を付きつつもしっかりと暖炉の正面を確保したそいつらは、正直言って限りなく作業中の彼女の邪魔だった。 とはいえ、冬に雪が降るなんぞ当たり前の話であり、その分彼女は十分に扱いを心得ていると言わんばかりにため息。 花柄のミトンを装備した両手を腰に当て、呆れ顔をしながらとっておきの呪文をコール。 「はいはい。そこどいてよ顔面アップル@パイになりたいの?」 瞬間、思惑通りに振り向く顔が一つ。 「えっ。ほんと!?アップル@パイ!?」 「そうよ。だから釜を空けてよ」 「わーい」 角して、彼女の要求通りに暖炉の前から張り付き魔は退散した。
よしよし。これで準備は整った。小さくひとりごち、取り出したるは第二の魔法。 美味しくなあれと願いを込めて、細工は流々仕上げは御覧じろ。 両手にはめたミトンからまるで溢れる光のように。 おおきく振りかぶって第一球――
「どっせい!」
焼成前のアップルパイを暖炉(一体型の焼き釜)に向かってぶんなげた!
その日は馬鹿みたいに雪が降って手紙を2件、届け物を1件、お使いを3件とこなした仕事は普段から比べると全くありえない量だった。 もちろんこなしたのは全部私で、この貸しは高くツケてやると私はとりあえず心に決めた。
彼女は当然それを知っていて、結局のところ焼きたてアップルパイは私への報酬として支払われたため、暖炉の前のバカどもが文句たれたのは後日談。
|