月と散歩 )
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長くて 短い、7月が終わる。
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僕の会社には、『夏休み』と『盆休み』がある。 『盆休み』は一般的な8月中旬。 だけどその時期はたいてい みんな休みで、どこに行くにも混み合う。
それじゃあ ゆっくり休めないだろう、ってことかどうかは知らないが 7月にも『夏休み』として長期休暇が設けられている。
なんとも 粋でぜいたくな会社だ(笑)。
だけどもそれはあくまで「会社として」の話。
忙しい部署には、そんなものは関係無い。
ロケットの出荷に追われる僕らの課は、毎年『忙しい部署』に入っている。 だから、夏休みもナシ。
今年も(それでも気を遣ってくれたのか)一日おきの出勤が続き、 結局9日ある『夏休み』のうち、連休は3日間。 あるだけいいじゃない、なんて思われそうだが 田舎に帰ろうと思うとちょっと足りなくて、休んだ気のしない夏休みになってしまった。
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そんな感じで、みんなの私生活を犠牲にしたロケットが、やっと出荷された。
7月25日。
名古屋の工場から種子島の発射場まで、ロケットの輸送は船で行われる。 前日に1段目、2段目それぞれがコンテナに入れられ それを2隻の船に積み込む。 といっても、それをするのは専門の業者さんで、 僕らは機体に異常が無いか 見てるだけなんだけど。
当日、名古屋はよく晴れていたのだけど 遠く太平洋上を移動中の台風の余波で、船の到着が予定よりも遅れた。 これがひとつめのトラブル。
ようやく港入りした船。 1段目は問題なく積み込みが終わり、2段目にかかろうとした時、船の積込み用ハッチが開かないというトラブルが発生。
当初の作業予定時間を大幅にオーバーして、日も暮れた午後7時過ぎ ようやく種子島に向けて出航した。
最後の最後まで、トラブルづくし。
「呪われてるんじゃないか」って話も冗談に聞こえなく(苦笑)。
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巨大な機体が出ていって、ガランとした工場は なんだか祭りの後みたいに もの寂しげ。
ともあれ、これで名古屋での作業は完了。
8月6日から僕も種子島へ。 お盆休み返上で9月10日の打ち上げを目指します。
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結局3日しかなかった夏休みだけど、 それなりに楽しんだ。
思う存分 惰眠をむさぼったり、ちょっと遠くまで遊びに行ったり。
これは余談だけど 遠出をした帰り、新幹線の車中。 気分を盛り上げる意味もあって 駅弁を食べた。『柿の葉寿司』。 …これが見事に当たりまして(苦笑)。
…はっ。 僕にまで呪いが…?!
クルマも(壁に)当てた事だし…こりゃ、宝くじでも買ってみようかな? なんて思う、厄年の夏…。
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ロケット。
台風の影響で、種子島到着が1日延びたことを付け加えておきます…。
もー、ボロボロ(苦笑)。
…まあ、事情はいろいろあるのだけれど。
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自分の器に合わない『強力な武器』は、 ココロを狂わせるのかもしれない。
フェンダーという名器を手に入れた僕は(6月13日『一刀』参照)、 なんだか無敵になった気でいた。
もう壊せない壁など無いと思ってた。
それとは関係無いんだけど。
クルマ、ぶつけました。 寮の壁に(苦笑)。
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そんなわけで、僕はいま代車生活である。
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きょうはひさしぶり、仕事が早く終わった。
真っ直ぐ帰るのもなんだかもったいない気がして 僕は道に迷うことにした(笑)。
この街の道は、土地柄もあってか 計画的に造られていないようだ。 真っ直ぐ進んでるつもりでも、緩やかにカーブを描いていて いつのまにか90度 違った方向に進んでいたり。 …なんてことがザラである。
…あれ? 僕だけですか??(苦笑)
とにかく僕はよく迷うので、数年前ついにカーナビを付けた。 機械に指図されるのはしゃくだから と、かなり抵抗があった。 けど、背に腹は変えられない。
ケータイを買ったときもそうだった。 世に携帯電話が幅を利かせ始めてからも かたくなに その誘惑を拒みつづけた僕だったけど、 出張が多い仕事の都合上 買ってしまった携帯電話。
カーナビも ケータイも、使い始めると手放せなくなった。 やっぱり便利だもの。
ひとは、楽なほうへ 楽なほうへ行きたがる。
まるで、流れる水のようだ。
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話が逸れました。
…それにしても…。
やー。 迷った、迷った(笑)。
代車には ナビはもちろん地図も積んでない。 勘だけが頼りである。
会社の行き帰りがほとんどの毎日。 いざ迷ってみると、自分の知らない道がまだまだたくさんあることに気が付く。
曲がり角を見つけては、曲がる。
ちょっと雰囲気の良い道があれば、ハンドルを切る。
カーステレオは カセットだけ。 学生の頃のテープをひっぱりだして、ひさしぶりに聴いた。
気分まで、そのときに戻る。
ジュディマリが流れていた、苦酸っぱいクリスマス。 若気の至り、ってやつですか(苦笑)。
友達が送ってくれた、斉藤和義。 『歌うたいのバラッド』は、やっぱりいい曲だ。
…。
一番こたえたのが ユニコーンだった。 『人生は上々だ』 『ヒゲとボイン』 ときて、 『雪の降る街』で とどめをさされた。
泣きそうになるのを、ぐっと堪える。
そして、声の涸れた頃 …ガソリンも涸れているのに、気が付いた…。
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寮には無事、帰りついたけど…
僕はまだ、迷ったままかもしれない。
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…そういえば 初出張のときスナックのカラオケで 『ヒゲとボイン』を歌って ちょっとヒンシュクを買った。
ちなみに当時のウチの課長、 りっぱな口ひげをたくわえてらっしゃった(苦笑)。
≪ああ、男には つらくて長い ふたつの道が…≫
ども。
順調に、週一更新でコンバンハ(苦笑)。
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今年は台風が来るのがいつもよりちょっと早いようで。 今月に入ってもう2つめの台風が、すぐそこまで来ているようだ。
「いつもよりちょっと…」といっても、 『いつも』をそんなに知っているわけではなく。
同期が言うには、台風がこっち(本州)まで来るのは たいてい9月に入ってから、なんだそうだ。
…4年も名古屋に住んでいて、 いまさらそんなことを知るのもどうかと思うけど(苦笑)。
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で、どうやら ここ名古屋には明日の未明から朝にかけて上陸する…かもしれないとのこと。
ちょうど通勤時間にあたる。
僕の会社は太っ腹なので(笑)、 「朝、暴風警報が出ていたら解除されるまで自宅待機」との指示があった。 へたに無理して出勤して事故でも起こされたら、そのほうが損失がデカイ との判断だろうか。
なんにしても、余裕のある決定だ。
ちなみに、先週 台風が来たときも、用心のため夜勤が中止になった。 夜勤メンバーだった僕は、いつ来るか いつ来るかと なんかワクワクして待ってたんだけど、結局 名古屋は かすりもしなかった。
こんな非常時に、ちょっと興奮してしまう僕は はたして正常に機能しているのだろうか(苦笑)。
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先週は、日曜の夜から次の日曜の朝まで、まるっと一週間の夜勤だった。
仕事は、それくらい余裕のない進み具合だ。
ここんとこ、3日おきぐらいでトラブルが起きている。 そこにきて この台風ラッシュ。
誰かがぽつりと 「この機体は、呪われてるんじゃないか」 なんて縁起でもないことを言っていた。
まあ、こっち(名古屋)である程度トラブル出ていたほうが 種子島にいってから、順調に進むっていうジンクスもあるようで。
厄払い?(違う)
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それにしても、作業に余裕がないのに台風だから と、のんびりしてて大丈夫なんだろか?…なんて思ってしまう。
僕の田舎がある北海道には、滅多に台風は来なかった。 来たとしても、そのころにはもう勢いも無くなって『熱帯性低気圧』なんて名前に変わってる。
だから入社当時、台風で仕事が休みになると聞いて、にわかには信じる事が出来なかった。 「雪が降ったから休み」なんて、冗談にしか聞こえなかった。 北海道では冬に雪なんて『あって当然』なもの。
それで休むとは、なんて弱いんだ!内地(本州)のひとは。 と、なんかちょっと勝ち誇った気分になってみたり。
…でも、北海道に やる気マンマンの台風(笑)が上陸したら 大変なことになるだろう。
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自分の常識。 それは、自分の『知識の広さ』。
僕の常識は、せいぜい『北海道くらい』だった。
…アレ? 大きそう?(苦笑)。
夜勤です。こんちこれまた。
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そしてまた、トラブルです。
ふー。
いま現場は みんなピリピリしてて、とても作業しづらい空気に満ちています。
責任の押し付け合い。
みんな なるべく責任は持ちたくない。 で、それらは結局廻りまわって現場の人間にのしかかる。
まるで、高いトコから流れ落ちる水のようだ。
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…誰かが我慢して、すべてがうまく流れるなら。
…僕らが我慢すれば、みんな幸せになれる?
…。
でも世の中、そんなに甘くないようだ。
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僕らも、幸せになりたいし。
徹夜勤務明けで、コンバンハ。
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ねえさん、トラブルです(笑)。
くわしくは話せませんが いろんな要因が重なっての、人的ミス。 エンジンにダメージがあり、結局 エンジンそのものを交換することになりました。 出荷を二日後に控えての、異例の決定。 というか、出荷日自体、延期です。20日ほど。 …でも、打ち上げの日程は変わらないみたい。
お盆休み、ナシです。
ふう。
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まあ、それはいいんですが(よかぁないけど)。
『エンジンのダメージ』って言ったって、機能的には問題はない。 けど、『信用』の問題で…。
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建て前。
見栄。
お金。
責任。
…ああっ!もうっ!!
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…失礼。 取り乱しました。
とにかく、いまが頑張りどころ。
さて。 まずはゆっくり寝ましょうか。。。
ひさしぶりに、仕事の話でも。
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まあまあ無事に機能試験も終わり、 現在ロケットは 7月5日の工場出荷に向けて 着々と…
…着々と、スケジュールから遅れること約2日(苦笑)。
間に合うんだろうか…。
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だんだんと、本格的に『飛ぶ』姿に近づいてきました。
試験中、剥き出しだったエンジンが カバーをかぶったり 火工品(火薬類)が取り付けられたり。
火工品というのは、補助ロケットや1・2段目を切り離したり いざってときに自爆させるための機構です。 といってもさすがに爆薬が付いた状態で 機体を種子島まで輸送する度胸はないので(笑)、 工場で取り付けられる火薬類は『導爆線(導火線)』とか。
それでも、細心の注意を払って取り付けられる。 静電気で火花が散ると、ボンっ! と いっちゃうんで 作業する人はアース線を身体に付けて 作業する。 電池式の腕時計なんかも静電気を発するので、NG。
で。
本体である爆薬は、 種子島で打ち上げ直前に付けられます。
…『爆薬』というのは、つまり自爆するための爆薬。
でも機体を直接 爆発させるわけではなく 燃料タンクを破って、残ってる燃料を反応させて 爆発をさせる。 爆薬それ自体は、厚さ2〜3ミリのタンクを破れればいいので それほど派手ではないのです。
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ロケットが自爆するのは、トラブルがあっていよいよ機体のコントロールが取れなくなったとき。 万が一、市街地なんかに突っ込まないように。
どんなロケットにも必ず付いている機能だけど、 日本のロケットは実運用において その機能を一度も使ったことがない ってのが、自慢でした。
…3年前までは。
H−�競轡蝓璽此∈埜紊裡弦羌 � 僕の初仕事で、自爆機能が 初めて使われた機体。
なんともはや…。
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んで、僕はいま 二度と使われないことを祈りつつ けどしっかりと機能するように、自爆機構なんかを取り付ける。
…ちょっと、複雑な気持ち。
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