凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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夜、固定電話が鳴る時は、大概不幸の知らせ。 そうここに記したのはいつだったか。
固定電話が鳴る。 ディスプレイには見知らぬ番号。 あぁ、また、不幸の知らせだ。 当然のように思う。 見知らぬ番号、という事は、私ではなく、夫関係の不幸だ。 それは勘ではなく、もはや積み重なった経験のような気がする。
受話器を取ると、見事に的中。 夫の田舎の知人。
電話ごしのやりとりから推測すると、海から水死体が発見され、それが夫の田舎の同級生らしいと。
あの先輩だ。
昔、夫から、確か年賀状を見せてもらった事がある。 それとも結婚しましたの葉書だったのか。 夫婦でダイビングをしている水中写真の葉書。 共通の趣味で、夫婦で一緒に海に潜りまわっているらしい、と、夫から説明を受けた気がする。 お店を2店舗経営して、休みは夫婦でダイビング三昧。 当時は、そう聞いた。
それからどういう人生だったのかは知らない。 いや。おおまかには、知っている。 おそらく、夫より。 あの電話で聞いたから。
その後、一人東京から生まれ育った田舎に戻り、海で死んだ、という事か。 泳ぎが達者な人がどうしたら海で死ねるのかは分からないけれど、薬でラリって転落とかなのかもしれない。 転落ではなく、自ら潜りに行こうとしたのだろうか。 薬か、酒か、判断がつかなくなった思考で、素もぐりで、海の中を見に行こうとしたのかも
いずれにせよ、最後、海の中で、彼はとても幸せな気分で死んでいったのではないかと思う。 少なくとも、自宅を放火して焼け死んだ知人や、首をつって死んだ知人より、海の中での、最期の瞬間だけは、幸せな気分だったんじゃないかと。 わからないけど。
天ではなく、海に召された彼に、ご冥福をお祈りします
暁
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