雑感
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2001年10月27日(土) |
幸せのかたち(ギリシャの島で感じたこと) |
本棚を整理していたら、ジェラルド・ダレル著(池澤夏樹訳)の 「虫とけものと家族たち」が出てきた。虫や動物が大好きなジェリー 少年がギリシャのコルフ島で家族と暮らした日々のことが書かれている。 4人の個性あふれる子ども達とこころ優しい母親が繰り広げる物語は 疲れたこころと身体を労わってくれる。
この本を読んで数年後、ひとりでザッキントス島へ旅にでかけた。 ジェリー少年が書いてあるように、ギリシャの島は乾いた土と紺碧の 海、白い家のコントラストが鮮やかでホテルから海岸へおりていく さいの景色に見とれたものだ。散歩がてらに港町まで歩いていった。 道すがら、何百何千というオリーブの木を過ぎていった。地元のじいちゃん たちは、ひねもす外に腰掛けてぼーっとしている。日が高く暑くなると 誰も働かない。 ホテルの客も一日太陽のもと寝そべってぼけっとしている。日常の 仕事や煩わしい人間関係が解き放たれ何もしないで太陽と海を見るこ とでずいぶん心がふわっとしたことを覚えている。
人は何かが欠けていると不幸せを感ずることが多いのだろう。でも もっていることの当たり前感から解放されると、幸せ感というのは 日常生活のあちこちにころがっていることに気づくのではないだろうか。
冬が近づくと、一日のうちで少しでも太陽が顔を出すと、すごく嬉しく 思う。今夜寝る場所があり、暖かい食事が取れるというのは、すごく 幸せなことだろう。比べてはいけないけれど、アフガンの難民をみて いたら当たり前の日常を享受していることがたまらなく嬉しくなる。
家庭内でいざこざがあっても、家族の一人一人が生きている証、存在して いるだけでも、ありがたいと思うことができたら、ずいぶん心が軽く なるのではないかしら。
幸せというのは探しにいくものではなくて、そこに当たり前にころがって いるものを再発見していくことのように思う昨今である。
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