雑感
DiaryINDEX|past|will
昨夜は十六夜だったのだろうか。 私の目には満月に映ったけれど、パートナーはちょっと欠けてると うるさい。
シェール主演の「月の輝く夜に」はお月様をめぐる、ニューヨーク に住むイタリア系移民のラブストーリーが描かれている。満月を 見たとたんに、見知らぬ男女が恋に陥り、倦怠期の夫婦に愛情が 戻ったりする。月は愛のキューピットの役割を果たしていた。 映画に映る満月は赤々と堂々として、引きこまれそうな勢いが あった。
一方、小林秀雄の「お月見」という文章には、たまたま満月に 酒宴があり、月を仰いで一同しんみりしたというくだりがある。 月を見て風流を感じるのは日本人に独特のものではないかと書かれて あった。言葉に明らかにするのはむずかしいけれど、西欧的な月の 感じ方より、さらに深い「もののあはれ」を感じる固有の文化が あるようだ。
万葉集の相聞歌を読んでいて、月と恋人を結びつけた歌がいくつか あった。
山の端(は)を追ふ三日月のはつはつに妹をぞ見つる後恋ひむかも
雲間よりさ渡る月のおほほしく相見し子らを見むよしもがも
いにしえの人々は月に特別の思い入れがあるようだ。満月以外に も、居待ち月、立ち待ちの月、更け待ちの月などといろんな名称がある。 西欧言語では満月と三日月くらいしか思い浮かばない・・ まんまるお月様を仰ぐよりは、雲間にさっと現れ、隠れる月にあはれ を感じているのだろう。
私は月を見ると生きていてよかったと思う。特に満月を見ると 特殊な元気なエネルギーをもらってるようで、ずっとずっと見とれ てしまう。しみじみと・・しんみりとなどとは感じない。 西欧的な感じ方をしていると思う。
月を愛でることに関しては日本人の方に少し軍配が上がるかな。
|