雑感
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2002年01月24日(木) 飲物とサービスについて

日本で、お昼どきB級レストランに入って、ビールやジュースの飲物を
注文する人を見るのはめずらしい。黙っていても、緑茶か水が出てくる。
欧州では、飲物は必ず注文しなければならないと暗黙の了解が成立して
いるみたい。席についたとたん、ウェイターが、すかさず”Zum Trinken?"
「お飲物は?」と聞いてくる。いらないとか、水道の水頂戴なんていうと
ちぇっ!と舌打ちが聞こえてきそうだ。

家庭でも、場末のレストランでも、食器の種類というのはそれほどない。
大きくわけて、大皿か中皿、スープ皿にサラダ用の皿くらい。これで
肉も魚も、グーラッシュも全部まかなっている。

一方、飲むための器は種類が多い。ビヤホールはもちろん、場末の居酒屋
でも、ビール用のジョッキや背の高い円錐型のグラス、赤ワイン用の
大きめのグラス、白ワイン用、ミネラルウォーター用、ジュース用、
シャンパン用とそれぞれ決められたグラスで運ばれる。

家庭でも、グラスの種類は多い。子どもがうっかりと、コーヒーカップで
ジュースなど飲もうものなら、注意される。大雑把な我家でさえ、普段
使いのグラスは4種類をいつのまにか使いわけている。
最初のうちは、使い分けが細かくて面倒だったが、そのうち和食器に
例えればいいのだなと納得した。
汁椀に白いごはんをよそったり、ごはん茶碗に汁物を入れるとやっぱり変だ。
無精と言われてもしかたない。

カフェで二人の男が1時間の間に、つまみは全くなしでソフトドリンクを
10杯くらい次々と注文するのを見てびっくりしたことがあった。
少し上のレストランで食事すれば、請求書の半分は飲物代というのが普通
である。

欧州料理における飲物の地位は対等か、それ以上のところにあると思う。
飲物が主で、料理が従のような印象さえある。食前酒に始まって、赤か白
のワイン、あるいはビール、最後はリキュール、コーヒーと飲物が
器と種類をとっかえひっかえで登場する。

和食屋で料理を注文し、番茶の金額を請求すれば、日本ではお茶でお金を
取るなと文句がくるだろう。
お茶の葉自体は、それほど安くはないのに、こういう気持ちはどうして
起こるのか、不思議。昔から水と安全は只と思う伝統が継続しているから
かな。
あるいは、お茶や水やおしぼりなどは、サービスという概念の中に
埋もれて、サービスでお金は取らないという意識があるのかも。
欧州では、サービスということばの裏には見返りというものがちゃんと
くっついている。


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