雑感
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久しぶりに向かうロンドン線の機内は満席だった。エコノミー席は 日本人の小柄な体格をもってしても窮屈な感じがする。 周りのイギリス人とおぼしき人達は鋳型にぴったりはめこまれたように 座っている。
搭乗待合室で高校生のグループが目についた。100人近くの制服の 大集団が機内に向かっていくのを眺めて、今日はうるさくて眠れないかも と思ったが、実際そんなことはなく彼らはご近所さんを集めた団体旅行の 大人たちよりもずっと立派だった。大声で歩き回るでもなく、紙に伝言を 書いて回しあっている。
通路側の私の席の隣に制服の女の子が座った。彼女の友達は一つ前の 席を占めている。彼女がおずおずと 「すいませんが、座席を交換してもらえませんか。」と私にたずねた。 「ごめんなさい。この席は予約時に指定して取ってもらったのです。 勘弁してくださいね。」と応えた。通路側の座席は空間的にも精神的 にも楽なので長旅には必要だった。
気分的なしこりが残ったかなと残念に思ったが、彼女の荷物を棚に上げた り、貰い損ねたお茶を取りに行ってあげたりして、彼女はくったくなく 笑うようになった。
彼女がお菓子をくれたのをきっかけに少し話してみた。聞くと高一で ロンドンへは語学研修に行くのだという。 まじかに感じる16歳の女の子の、きらっとする瞳や話し方、頬の色は とてもまぶしい。 16歳から見た未来ってどんな風だったかしらと思い出そうとする。
まもなく着陸というアナウンスが入ったとき、彼女が一緒に写真を取って くださいと提案した。私は喜んでファインダーの中に入った。 学校を卒業して、親の勧めるようなまっとうな結婚をしていれば、 これくらい年齢の子どもがいたのかもとファインダーの中の私の表情は 語っているかもしれない。
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