雑感
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2002年04月08日(月) 土田麦僊の画集

自宅のサーバーがダウンしたおかげというべきか、夜はたっぷり
時間がある。

昨日は休養と称して走らずに、めずらしく小説など読んでいた。
小説の中の「私」と電話1本でつながった向こうの世界にいる人との
会話の中で「ツチダバクセンの画集・・」という言葉が出てきたとき
相手がすぐに「土田麦僊」とわかって「私」は急に親近感を覚える。

私もこの箇所を読んですぐに漢字が出てきたので何となく作者に
親しみを覚えた。
東山魁夷や横山大観でなく麦僊の画集というのがよかった。
私の本棚には先の二つの名前の画集はないけれど麦僊のは偶然持って
いる。

何年か前に京都駅がリニューアルされて間もない頃、平安神宮近くの
美術館(京都市美術館だっけ?)で麦僊展があったので秋の紅葉
見学がてら両親を連れて出かけた。

麦僊は明治の頃の日本画家で西洋画を学びにパリに留学したことも
あった。寺子屋で3人のこどもたちが立たされてべそをかいている
光景や、大原女が3人くつろいでいる場面が今でも印象に残っている。
出来上がりの作品は線があざやかで力強さを感じるけれど、下絵には
何度も引かれては消された線のあとが、製作の緻密さを残している。

油絵を始めて6年になるが、いつのまにか面と色と光にのめり込ん
で、絵は線で描くということから逃げていたように思う。
真っ白な紙に一本の線を引くのはずいぶんと勇気がいる。100本の
線をひいて消してもかまわないから、勇気を出して昨日よりは少しで
も上達したいと、麦僊の画集を見ながら思った。



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