雑感
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2002年05月08日(水) アドルフの亡霊

毎年5月8日は欧州にとって忘れられない日である。
1945年5月8日、ナチスドイツから欧州が解放された日。

欧州各地では記念式典が執り行われる。
ウィーンの王宮前英雄広場は普段は観光客やフィアカ―馬車で
賑わいを見せているが、オーストリア国民にとっては触れると
ちくりとくる場所でもある。

今から64年前王宮のバルコニーに口ひげあざやかな男が一人
何万人もの熱狂的な群集を前にして凱旋演説を行った。
オーストリアから放り出された男はドイツで力をつけナチス
ドイツの総統として故郷オーストリアを併合。オーストリア国民は
熱狂的に彼を受け入れた。

戦後のオーストリアはこの事実をなかったことだったように振舞っ
たが、常に男の影がつきまとっていた。

昨今、再び極右の集団が欧州各地で形成され、今日はこの集団が
正式にデモ行進で英雄広場を訪れる予定だった。同時にこの集団に
反対するためのデモもいくつか予定されている。
当局は衝突を恐れ英雄広場周辺を封鎖することにしたとニュース
があった。

彼の残した有形無形の影響は21世紀になっても消えていない。
真中からちょっと右、左でイデオロギーの針が触れている間は
大丈夫だけど、人々の不満を利用して思いきり右にぶれると
世の中は住みにくい。特に異邦人の私にとっては。


Aqu |MAIL

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