雑感
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| 2002年10月02日(水) |
切れすじのいい空気と暖かなひとたち(2) |
この土地の温度計は2度を指していた。
吐く息も白さがあざやかで、手袋をきっちりはめ、ジャンパーを
しっかり着込んでも寒さが突き破りそうな感じがする。
9時30分、号砲。ゆっくりと飛び出す。総勢400−500人
くらい。500メートルほど走るとペンションの前に来た。宿の
主人がにこにこと応援してくれている。軽く手を挙げて挨拶を
交わした。朝食が満足にのどを通らなかったと見えて、走り出した
時の感触が悪い。とりあえず前半は6分30秒で進めてみた。でも周りのスピードが半端じゃなく、5分くらいで走り
去ったランナーがほとんど。あっという間に後方に置いていかれた。
10キロ走ると、ハーフのランナーは大きく左旋回し
私の後ろには誰もいなくなった。前は100メートルくらい先に
数名のランナーがいるだけ。ずいぶん心細い一人旅になった。
コースはサイクリング道が中心で、イン川を右手に眺めながら
遠方の険しい山々が取り囲んでいる。川の碧色は美しく、水面が
きらきらしていた。放牧の牛の群れを左右に眺めていると、本当に
チロルにいるんだなと思う。途中の村々では、景気付けに音楽の
演奏をしている。エイドでは村のこどもたちが、ドリンクをわざわざ
持って出迎えてくれる。
10キロ過ぎから調子が悪いのが気にかかるけれど、予定通りの
ペースでハーフまで走っていった。折り返しの先頭集団が掛け声
をかけて応援してくれて少し恥ずかしかった。
ハーフを過ぎると脚が重く、スタミナ切れも顕著になり、ペースが
自然と落ちてきた。27キロで消耗感が強くなった。動かない脚と
空腹を和らげてくれたのは、沿道の自転車乗りと、村の子供たち
の声援だった。「スーパー!」って何度も言われるとまだまだ脚が
動く。30キロ前半はペースを落としながらもふんばれたと思う。
37キロからは寂しい側道がゴールまで続いている。ここは応援して
くれる人もいないし、前後にランナーがいなくなってずいぶん寂しい
思いがした。キロ7分台もきつく8分台しか刻めないのは相当
消耗しているのだろう。でも歩いたら、止まったら終わりというの
がわかっている。これ以上、体調も悪くならないこともわかっていた
ので我慢してゴールに向かう。1,2,3,4,5・・・1,2,3
、4,5,6の変なリズムを数えながら走っていると駅前通りに
出た。
ようやくゴール。予定タイムを15分もオーバーしたけれど、
完走できてよかった。まったくもって、声援のおかげと言うべきか。
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