- different corner -
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| 2003年06月23日(月) |
舗装された記憶/やさしくなれない。 |
いやなことがあると、 時々散歩していた川沿いの道があった。
そこはまだ舗装されておらず、 土や石が転がっている草のたくさん生えている道で、 雨がふると水溜りがなかなか消えない うちの周辺では珍しい場所だった。
久し振りに歩こうとしたら、 その道は舗装されていた。 真っ黒なアスファルトで覆われ、 横に流れる川を不気味に黒く彩っていた。
道の真中に咲いていたタンポポが、 ときどき顔を出してさえずる小鳥が、 道を歩く人たちがどんなに 心を和ませていたかなんてきっと関係が無い。 土の感触がどんなに足にやさしかったかなんて 舗装した道路工事の人には意味が無い。
歩きづらいから、むしりとられた。 邪魔だから、場所を奪った。 それだけのことなのだろう。
何を言ったところで、あのタンポポたちが 戻ってくるわけではない。 今は感傷にひたっていても、またタンポポが 咲く季節になったら忘れているはずだ。 自分がそんなに感傷的な人間だった覚えもない。
ただ、歩きづらいアスファルトのせいで ときどきみしみしいうひざだけが、 やさしい土の感触や黄色いタンポポ、 そしてときどき顔をのぞかせては 心を和ませてくれた小鳥のことを覚えているだろう。
薄暗い曇り空と、黒いアスファルト。
私の心の中で、二つの色が混じりあいながら やさしい記憶を塗りつぶし始めた。
便利なものが、必ずしも人を救うわけではないのに。
BGM : Don't you ever learn? - Todd Rundgren
言葉をぶつけて、 相手が辛そうな顔をしているのを見て、 はじめて言ってはいけないことを 言ったのに気付く。
あやまっても後の祭り。 もう信頼は取り戻せない。
誠実になりたくてしたことが、 相手を信じたくてしたことが、 相手を傷つけている。
自分が心を許せば許すほど、 近づきたいと思えば思うほど、 相手を追い詰めている。
どんなに耐久力があっても、 いずれ壊してしまうだろう。 あとは、相手が離れるのを待つだけ。
私みたいなやさしくない人間には、 あまり近づかないほうがいいのだ。
こんなことを 何回繰り返せばいいのだろう。 いつになったら、私はやさしくなれるの?
BGM : Girl don't let me down - Brent Bourgeois
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