サッカー観戦日記

2009年01月12日(月) 高校選手権決勝 鹿児島城西−広島皆実

昨年は4万8千人集まった高校選手権決勝。チケットが早々に売り切れ、通路にまで観客が座った状況で、JFA後援会員は楽々入れた反省からか、今年はJFA後援会員は先着500人限定入場となった。そこでキックオフ2時間前までに国立に登場。会場前なので、ぎっしり人がいる。空は晴れていて、温かいくらいだ。入場し、600円のレトルト牛丼を食べてのんびり時間を潰す。天気が少しずつ悪くなり、キックオフ直前には雹が降る。

鹿児島城西は今大会得点記録を塗り替え、また決勝進出チームとしては最多失点であろう、乱打戦の連続で勝ち上がってきた。プリンスリーグ九州王者。各年代の代表に選ばれ、鹿島入りが決まっているエース大迫勇也は全試合ゴールで大会得点記録タイに並んでいる。相棒の野村も全試合ゴールだ。大迫希も熊本入りする。このチームを観るのは高校総体準々決勝・佐賀東戦以来だ。

対する広島皆実は固い守備力で1失点で勝ちあがってきた、などとマスコミには言われているが、実際はかなりの攻撃力を備えている。中国プリンス王者。こちらは2、3回戦に引き続いての観戦。もちろん大会前から注目していた。


高校選手権決勝  
鹿児島城西−広島皆実
14時 国立 雪のち曇り ピッチ並

城西           皆実
−−大迫勇−−野村−−− −−−金島−−玉田−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
室屋−河野−安田−大迫希 谷本−浜田−−宮下−佐々木
松井−蔵薗−成元−伊地知 ��原−松岡−−井林−村田
−−−−−神園−−−−− −−−−−神舎−−−−−

鹿児島城西

GK  1 神園優 (3年・大口中)      184/76
DF  3 蔵薗友裕(2年・鹿児島育英館中)  183/70
    4 松井駿佑(3年・吉松中)      182/71
    5 成元将平(3年・太陽スポーツクラブ)178/64
   13 伊地知蓮(3年・金久中)      180/68
MF  6 河野圭亮(3年・鹿児島育英館中)  172/60
    7 大迫希 (3年・桜島中)      178/66
   10 安田啓優(3年・鹿児島育英館中)  170/61
   12 室屋良憲(2年・鹿児島育英館中)  177/63
FW  9 大迫勇也(3年・鹿児島育英館中)  182/72
   11 野村章悟(3年・鹿児島育英館中)  178/69

広島皆実
GK  1 神舎宏 (2年・サンフレッチェ常石JY) 175/68
DF  2 村田俊介(3年・サンフレッチェ広島JY) 173/66
    3 井林章 (3年・サンフレッチェびんごJY)177/64
    4 松岡祐介(3年・サンフレッチェ広島JY) 176/68
    5 ��原拓也(3年・サンフレッチェ広島JY) 170/64
MF  6 宮下航 (3年・CAミレニオ)      172/65
    7 浜田晃 (3年・サンフレッチェ広島JY) 170/61
    8 佐々木進(3年・大洲中)         172/63
   10 谷本泰基(3年・サンフレッチェびんごJY)174/64
FW  9 金島悠太(3年・吉田中)         180/65  
   11 玉田耕平(3年・安芸FC)        164/58

序盤は雹のためメモ取れず。城西は大迫勇が常に前線に張り、足元でボールを受けようとする。スペースに流れる動きは全くないが、DFを背負いながらも全くブレないトラップ、鋭いターン、ジャンプ力、ターン、前を向けばスピードあふれる突破と、圧倒的な能力を見せる。皆実がセットプレーの際も182cmの高さで防空戦に加わることなく一人前線に残る。カウンターでも単独突破できるからだろう。立ち上がりは技術に優る皆実が押す。皆実はチャレンジ&カバーがしっかりしており、大迫に対しても、守備の基本を忠実に守る。中盤は無理のないパス回しからサイドのスペースを狙う。城西はDFラインが極端に中に絞り、その外のスペースを皆実がサイドチェンジで突く。城西のサイドバックが中だけをケアしている傾向があり、何度か外の突破を許す。城西は中盤が技術でも運動量でも皆実ほどではなく、2トップの能力に頼りすぎる。サイドバックもほとんど上がらず(上がれず)、攻撃的に行きたいのだろうが、中盤を支配されて苦しい。18分、城西、左スローイン、野村がDFをタテにかわし左クロス、大迫勇がニアに飛び込みヘッド、右に外れる。20分、城西、右パスをペナ内で受けた大迫勇がDFに囲まれながら反転、シュートはブロックされるが、こぼれて足元に跳ね返り左足でシュート、右に決まる。1−0。押されていた城西が先制。皆実DFはしっかり対応していたが、大迫の能力が上回った。22分、大迫勇、右シュート、GK正面。23分、皆実・浜田左を突破しクロス、大外で佐々木がヘッドで落とし、正面で金島がダイレクトボレー、決まって1−1。完璧な崩しだった。皆実は谷本が左からチャンスを作り、SBが次々と上がっていく分厚い攻めを繰り返す。33分、またしても皆実の右から左へのサイドチェンジ、金島が受け、後方の谷本へ、エリア内を突破しシュートはブロックされるが、こぼれを右隅へ決める。1−2。35分、これまであまり目立たなかった大迫希が右からスピードを向かえカーブをかけたアイディアのある右クロス、大迫勇がニアに飛び込むがDFもよくついていてスライディングシュートはブロック。36分、皆実、左スルーパスを金島が抜けて伊地知をかわし、ペナ内に切り込み、シュート、上に外れる。決定機。大迫希はまたいいクロスを上げ、J入りが伊達ではないことを示した。44分、皆実、右FK、谷本がFKから右クロスを入れ、ファーでヘッド、クリアを玉田ヘッド、惜しくも上に外れる。結局1−2で前半終了。

45分ハーフの前半は総合力に優る皆実ペース。中盤でしっかり繋ぎ、強引な攻めはなく、確実に崩せる機会をうかがう。危険な奪われ方が少ないのでピンチが少ない。失点も普通なら守れていた。前半のシュート数5対9(公式記録)。

ハーフタイムで城西・大迫希→平原。大迫希はケガを抱えているらしい。そのまま右サイド。

45分、皆実・松岡に警告。故意のハンド。48分、左CKでファーに上げたボールをGKの前に大迫勇が飛び込みヘッド、上に外れる。高い。52分、皆実、右CKを谷本が入れ、ファーで井林がヘッド、GK正面。7分、城西・河野→鮫島。そのままボランチへ。やや試合は膠着する。62分、城西・大迫勇がキープから右へ、平原が右クロス、野村が正面フリー、インサイドで決めて2−2。乱打戦なら城西のほうが慣れている。これで展開が面白くなってきた、と思った。しかし66分、皆実、RB村田がハーフ付近で受け持ち込み、松井をスピードでタテにかわし、右クロス、ファーで金島がヘッド、決まって2−3。完璧なサイド攻撃だった。68分、城西・大迫勇がポストプレーから反転突破、GKと1対1になり股間を狙うがセーブされる。大迫は強引なまでの反転もあり、なかなか止められない。しかし神舎も好対応だった。70分、皆実・谷本、左を突破して左クロス、中央で金島狙うが右に外れる。72分、皆実、村田が長い距離を突破、城西の室屋も50m以上追いかけるが村田の快速の前に追いつかない。しかしクロスはラインを割る。76分、城西。大迫勇のポストプレーから室屋シュートもGK正面。33分、皆実・玉田→秦。皆実は全体にペースを落とし、キープに入る。38分、城西・安田→大坪。大坪は城西では技術のある選手で、中盤でボールを持つと切り返して一人外してからサイドに展開するプレーが得意のようだ。大坪は前線に入り、野村がフリーポジション。この頃には皆実は城西陣内深くでボールキープを繰り返す。まだ時間があり、早すぎると思った。しかし時間は確実に過ぎていく。90分、皆実は金島→美濃。DFだったら美濃囲いというべきだろうが、中盤に入る。ロスタイムに城西はGKが2度、帽子を脱いでセットプレーで上がるが実らず。結局2−3で皆実が逃げ切り全国制覇した。

今大会の一番の注目選手は大迫勇だから、マスコミも城西中心の報道だったが、「スーパースターに対し、個々の能力で劣る皆実がチームワークで対抗」といった試合ではない。むしろ皆実のほうが個々の能力で上だった。技術でも運動力でも上回り、中盤を制し、サイドバックもどんどん攻撃参加した。FW金島もよく起点になった。皆実が勝つべくして勝った試合だった。

皆実は高校総体では全国制覇しているが、選手権は初制覇。サンフレッチェの下部組織出身者が多く、ユースに上がれない選手たちが腐らず精進して得た栄光だ。極端にいえば、いい選手をただ集めて、きっちり細かく指導することもなく、潰れれば自己責任みたいな印象を受けるJクラブもある中、広島はユースに上がれないような選手もきっちりと育てて、高校では全国レベルで通用する選手にした証拠だと思う。そしてプリンスリーグなどで、高校勢と対戦し、揉まれていく。広島は高校も皆実の1強というわけでもなく、観音ほかも強いし、いい状態だ。Jクラブと高校との理想的な関係かもしれない。

大迫勇は今大会では圧倒的だった。5年に一度の逸材といってもいい。しかし8月のSBS杯ではアルゼンチンU−19代表DF陣に手も足も出なかった。フィジカルの差もあったし、足元ばかりで受けるプレーを完全に読まれていたのもあった。世界は広い。普通に育てば、Jで通用するレベルにはなると思うが、大迫にはもっと上を期待したい。鹿島ではプレーの幅を広げ、きっちりプロでやれる体作りをして、それでいて試合勘を鈍らせない、適度な実戦経験が求められる。鹿島は育成実績もあるし、楽しみだ。

公式記録


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T.K. [MAIL]