ぶつぶつ日記
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2001年09月16日(日) |
もし自分の大切な人が、殺されたら・情報操作と陰謀説 |
【もし自分の大切な人が、殺されたら】 イスラムのHPというところで、 身近な方が今回のテロに巻き込まれ連絡が取れないという人が、 正直な怒りをぶつけているレスを読んだ。
もし、自分の大事な人が、今回のようなテロに巻き込まれたら、 私はどう感じるのだろうか。 それが、自分があまり関心のない犯人、 例えば、スペインのETAとか、アメリカのキリスト教極右、 ドイツのネオナチや南米の様々なグループとかだったら、 きっと私も、 その人にようにあふれ出る怒りと憤りを抑えることはないだろう。 絶対に許さない、許せない、そう思うに決まっている。
では、もしその犯人がエジプト人やパレスチナ人、 そして今回のように、イスラム教徒だったら? 私には、わからない。 彼らを許せるのか、イスラムを憎むようになるのか。 心は引き裂かれるだろう。
連邦ビル爆破犯の死刑が執行された時、 一組の夫婦はそれぞれ犯人に対する思いを胸に、 別々に時を過ごした。 父は犯人を許せなかった。 死刑は当然だと思った。 だから刑をその場で見届けた。 母は、例え娘を奪った犯人だとしても、 「命」を奪うことが正しいとは思えなくなった。 死刑に反対し、夫のもとを去り、 祈りと許しと共に、その時間を迎えた。
どちらが正しいとか、素晴らしいとかではなく。
【情報操作と陰謀説】 かなり早い段階から、今回のことはどこぞの陰謀だ、 というヒステリックな雄たけびを上げているムスリムがいる。 確かに色々胡散臭いことはある。 ボストンに残されたアラビア語のマニュアルとか、クルアーンとか。 ハンブルグに留学していたような人物なら、 アラビア語のマニュアルなんて、絶対に!!!必要ない。 英語べらべらのはずだ。 それに、クルアーン、持っていかないかなあ??? とか、言い出したら切りがない。 それで出てくる陰謀説だが、モサドだの元KGBだの、 時代遅れの名前ばかり。 これでは単に身内かばいと言われても仕方がない。 モサドも元KGBもあんな大それたことが出来るのなら、 とっくにパレスチナ人を「イスラエル」から追い出しているだろうし、 ロシアだってもう一回くらい転覆して以前の暗黒支配に戻っているはずだ (そしてもし「パレスチナの一組織」にあの事件が起こせたら、 これまたとっくに独立国家を作れているはずだろう)。
ただし、狂喜乱舞するパレスチナ人の姿をくり返し流したりする (そしてあれは湾岸戦争時1991年の映像だと言う話もある)、 情報操作やイスラムバッシングには確かに腹が立つ。 しかし自分自身は家族との対話の中で、 私たち(イスラムアラブ好き、もしくはムスリム)も ただ闇雲に相手の不理解を責めてはいないか? と自己反省をしているところである。
確かに今回の件ではイスラムもしくはパレスチナ人はある意味被害者だ。 今後、今回の汚名を挽回するのにどれくらいかかるのか、 想像も出来ない。 しかし、喜んでいる「一般人」は確実に存在してしまう。 カイロ在住のある方の話によると、 その方が話を聞いたほとんどの(普通の)エジプト人は 今回のことで何らかの溜飲を下げたと感じているそうだ。 私自身もそれを聞いて、実際さもありなんと思った。 そういう悪感情があるのは中東好きには衆知の事実。 そして私たちは中東好き故にどうして彼らがそこまでアメリカを嫌うのか、 その背景を知っているが、 今まで中東に興味を持っていなかった人がわからないのはこれまた当たり前だろう。 急がず、少しずつ、そういう話を家族や知人としていけたら、 確実に見る目を変える日本人はいると思う。
今は闇雲に情報操作に感情的になったり、 不確かな陰謀説にすがったりするのではなく、 冷静にものごとを観察し、 その中でアメリカやマスコミの正すべきところを分析するような したたかさも、必要だと痛感している。
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