ぶつぶつ日記
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2005年08月17日(水) 白洲次郎という生き方

この世でもっともあこがれる男は誰?
と聞かれたら、
20代の私は、「澁澤龍彦」と答え、
30代の今の私は、「白洲次郎」と答えるだろう。

白洲・・・と聞いて、もっとも有名なのは、
女性ながらに稀代の目利き、そしてエッセイストとして活躍した
白洲正子氏だろう。
白洲次郎氏は、彼女の夫君である。
こう書くと私の中では何かしっくり来ない。
なぜなら、白洲正子が「白洲正子」になりえたのは、
白洲次郎の妻だったからこそ・・・と思えてならないからだ。
二人は、正子氏がまだ二十歳になる前に結婚している。

それこそ、自分が20代の頃、本屋で気になる一角、
それが、白洲正子氏のコーナーだった。
けれども、なんとなく敷居が高い。
読んでもそのよさが自分にわかるのか、自信がなかった。
それから、働いて、エジプトに行って、
30歳を過ぎて、ようやくその本を手に取る勇気ができた時、
なんとまあ、今の日本には存在しない、
本物のハイソサエティーの強烈な生き方だった。
そして、彼女の書くエッセイよりも、彼女に興味が出た。
下々には決してまねのできない、育ちの良い野蛮さ・・・。

やがてそれが、幼少時代だけではなく、
結婚した相手にも恵まれていたことを知る。
その相手でなかったら、彼女を信頼し、
あそこまで自由に自己の追い求めるものを、
追いかけることを許しただろうか?

曲者の男たちに囲まれ、徹夜で酒を飲んで帰ってくる妻を、
「あら、おはよう!」と迎えられる。
そこには、愛情と信頼があり、男の器量の大きさがあった。

相手のことを嘆く前に、己を見よ。
相手は己を映す鏡に他ならない。
二人はそんなことを私に教えてくれる。

白洲次郎 占領を背負った男  北康利 講談社
風の男 白洲次郎 青柳 恵介  新潮文庫

☆そんな難しいことを言わなくても、
「風の男 白洲次郎」の表紙でまずノックアウト。
白いTシャツとジーンズをはいた白洲氏のかっこいいこと(笑)


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