ぶつぶつ日記
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| 2005年09月08日(木) |
台風とハリケーン、アメリカとキューバ |
「歴史に残る」と言われていた台風14号、 死者や行方不明者を出し、被害も甚大である。 しかし、亡くなった人の数で見ると、 今の所18人、最終的に見ても、30人を上回ることはないだろう。 けが人も、数十人単位ですんでいる。
この台風14号、アメリカを襲ったカテリーナと比べてみると、 14号の方が大きかったと言うことをご存知だろうか? しかし、被害を比べると、とてもそうとは思えない。 一体どんなハリケーンがアメリカを襲ったんだ?と思える。 日本、特に南の方の人たちは台風に慣れているから、 ある程度被害を食い止められたけど、 アメリカはそうじゃなかったから、被害が大きくなったか? と言うと、これまたそんなことはない。 ニューオリンズやミシシッピーのあたりは、 日本で言うところの台風銀座であるらしい。 実際、インタビューされた住民の中には、 「ハリケーンには慣れていたのに・・・。」と答えている人もいた。
現在、避難場所にされているアストロドームでは、 細菌による感染症が発生し、死亡者も出ている。 救援活動は遅々として進まず、 ルイジアナ州ニューオーリンズのネーギン市長は、 汚染された水が健康被害をもたらす恐れがあるとして、 まだ避難していない市民約1万人を 「強制的に」退去させることを許可したそうだ。 警察は呼び掛けに応じない市民を対象に 「最終的手段」として強制退去させる方針を示したと言う。
ここで問題になるのは、強制退去させたあと、 彼らをどうするのか?と言うことだ。 行く場所がないから、彼らは残っている。 一時的に避難する場所を、政府は用意しない。 それが、「小さな政府」の方策だからだ。 国民が自分たちで出来ることは、政府は手を貸さない。 今回のハリケーンの前に、 資金や手立てや頼る先がある人々は、脱出していた。 町に残っていたのは、そういった手立てのない人がほとんどだった。 「大きい政府」式である日本は、こういった手立てを用意する。 色々問題はあるが、それが仮設住宅と言われるものである。
また、こういった問題が出るとき、 皮肉にもキューバがアメリカの引き合いに出される。 ご存知の通り、キューバはアメリカから長い間経済制裁をされており、 世界でも最下層に位置する国であるが、 実は、アメリカとキューバの乳幼児死亡率は14%前後で、 ほとんど同じだそうである。 「大国」アメリカと、「最貧国」キューバの、 乳幼児死亡率が同じなんて! それを知った時、かなりびっくりした。
そして、今回のハリケーン、 昨年、キューバは、ハリケーン・デニスという大型ハリケーンに襲われた。 その時、60万人の貧しい人びとを ひとり残らず避難させるという力量を発揮したそうだ。
キューバに出来ることが、なぜかアメリカでは出来ない。 それは金銭的な問題では、全くない。 金はあるだろう、そりゃあ。 それが、政策の失策なのか、人種差別なのか、階級性社会の問題なのか、 なんなのかは、わからない。
ひとつだけいえる事は、 アメリカは自由の国であり、 病める時も健やかなる時も、 貧しき時も富める時も、 全ては、個人の責任範囲内であり、 手立てがあろうがなかろうが、 自分で「何とかしなくてはいけない」ことが とても多いと言うことだ。 それが、災害であっても。 そういう意味では、略奪という手段も、 貧しき者のひとつの方策なんだろう。
「自分だって、娘がどこにいるかもわからないのに!」と、 進まない救助活動に疲れ、張り詰めた瞳をした警察官の叫びは、 誰に届くんだろう?
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